本研究では、20世紀初頭、ハルハ(外)・モンゴルにおいて実施された経済政策の分析を通じて、地域社会の変革過程を明らかにした。1911年12月、清朝崩壊後、ハルハ・モンゴルではボグド・ハーン政権が成立すると、あらたに財務省が設立された。財務省は、モンゴルの商業、税務、土地などを管轄し、財政基盤を確立するためにさまざまな政策を立案した。とりわけその政策は、外国人による開墾地やその土地への課税に重点が置かれたが、それらはハルハ・モンゴルに定着した漢人商人やロシア人商人の土地であった。1910年代、土地制度からみれば、モンゴル政府は、清朝時代の旧慣を継承しながら、新たな方向を模索しつつあったのである。
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