研究課題/領域番号 |
25380424
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
ドンゼ ピエール・イヴ 京都大学, 白眉センター, 准教授 (20635718)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療史 / 放射線装置 / 日本 / 産業史 / 技術史 / 放射線学 / 医療器械 |
研究概要 |
①予定通りに,研究期間初年度においては,放射線医学業界の社会史を解明するために,欧米諸国・日本に関する資料・データを収集した。業界・学会の雑誌・出版物の収集に,東京及び金沢市へ出張した。また,特許電子図書館のデータを基に,医療器械・放射線器械に関わる特許(1513件)をデータベース化した。 ②集まった史料に基づいて,海外と日本で4回,研究報告を行った。社会経済史学会(2013年6月1日)及びEuropean Business History Associationの大会(2013年8月23日)で,日本の医療器械産業の発展を課題としながら,放射線器械に関する特徴を明らかにした。また,経営史学会(2013年10月26日)及びBusiness History Conference(2014年3月26日)では,日本を含める戦前の新興国において,放射線装置の普及へのSiemensの貢献を紹介した。 ③これらの研究報告は,25年度の出版物の基盤となった(『日本医史学雑誌』)。現在, 他の論文は国際学術雑誌へ投稿中である。 ④2015年8月に京都で行うWorld Economic History ConferenceへThomas David教授 (Lausanne University)と共に「Globalization of Medicine, 19-20 cent.」へのセッションに応募し,選抜された。この学会に際して,日本における放射線器械の普及は,国際比較の背景が明らかとなる。 ⑤研究期間最終年度に『医療の経済・経営史―放射線器械の普及を中心に(1890-1960年)―』(X-ray machines and the business of medicine in Japan: An Economic and Business History Perspective, 1890-1960)の原稿のために,「日本における放射線学の誕生・発展」(仮題)の章を準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度には,研究は一般的に予定通り進捗していた。 ただ,予定よりも遅れているのは,「日本における放射線学の誕生・発展」(仮題)の章の作成である。26年6月末までに,同章を完成させる予定。特許電子図書館のデータからの,医療器械・放射線器械と関わる特許(1513件)のデータベース作成は計画より時間がかかった。しかし,このデータベースは26年度の課題(日本の放射線装置メーカーの経営史)のために使用する予定であるので,今年度末までの研究は順調に進展する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に関して,研究計画に従い,研究を推進する予定であり,経営史のアプローチに基づく放射線器械メーカーによる放射線器械の普及に焦点を当てる。 これのために,次の通りの史料・データを集める予定がある:① 生産統計,② 各国の貿易統計,③ 日本の放射線器械メーカーに関する史料,④ 外国の多国籍企業の放射線器械メーカーに関する史料,⑤ 特許のデータ(特許電子図書館)。①~③に関するデータ・史料は国内で収集が出来るため,東京へ出張する予定がある。④ 日本で活動していた外国の企業に関して,25年度に他の研究費でErlangen(ドイツ)でSiemens Medical史料館を訪問に際して,すでに日本の関連史料を集めた。その結果,今年度には,GE史料館(Schenectady Museum内,アメリカ)へ出張する予定。また,③~④に関して,世界の放射線器械メーカー(日本を含めて)について資料を集めたManchester University Libraryを訪問する予定である。なお,⑤に関しては,特許のデータは25年度の課題のために収集したが,今年度の課題のためにも使用ができる。 研究報告の予定は,社会経済史学会あるいは経営史学会,及び日本医史学会で行う予定がある。また,Leeds(イギリス)で行う研究会(「Medicine, Patenting and Ownership in Historical Perspective」)へ報告を応募したが,現在、選考中。なお,2015年3月には,スイスのローザンヌ大学で「Globalization of Medicine, 19-20 cent.」に関する国際学会を共同オーガナイズし,2015年8月のWEHCのpre-sessionとなる。 今年度にも,放射線装置メーカーの経営史に関する原稿の1章を作成する予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費の残り。 物品あるいは出張のために使用する予定。
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