研究課題/領域番号 |
25380427
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
張 楓 福山大学, 経済学部, 准教授 (30467758)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地方工業集積 / 家具産業 / アパレル / 備後地域 |
研究実績の概要 |
戦後地方工業集積について前年度にひきつづき備後地域を中心に調査・研究を継続しています。平成26年度においては、まず、安定成長期以降の40年間に量的縮小が進む家具産地の変貌(構造再編成のプロセス)について、備後府中家具産地を事例に、産地が再生に向けていかなる模索を繰り返し、また新たな胎動を育むようになったのかを解明すべく、本格的な資料調査と聞き取り調査を行いました。資料調査については、前年度平成25年度に新たに発見した府中家具工業協同組合所蔵の資料のほかに、広島県東部技術センター(試験場)所蔵の産地診断書や雑誌を収集しました。聞き取り調査に関しては、おもに産地業者に対しては幅広く行いました。その対象はメーカー22社、関連業者15社(合板・ツキ板、部品加工、運送、小売)となっています。以上のような調査により、集積規模が縮小する原因とともに、産地の再生に向けての新たな胎動やその胎動を支える条件が明らかにとなりました。 つぎに、地方工業集積について家具産業に限定せずに、織物・衣服産業の調査を開始しました。大きな契機となったのは、山崎広明・阿部武司『織物からアパレルへ』(大阪大学出版会、平成24年)では、戦前・戦時期備後地域の織物産業の展開が明らかにされているものの、戦後における織物からアパレルへのダイナミックな展開の実態が課題として残されていると感じたためです。こうした問題意識から平成26年度7月から広島県アパレル工業組合と広島県織物工業構造改善組合の所蔵資料を調査し、結果的に両組合で膨大な資料群の発掘に至りました。前者の資料撮影は9月に完了し、後者は現在進行中であります。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に多数の家具産地業者に対する聞き取り調査、また織物産地関係業者や組合への調査がスムーズに進んだことは、平成26年度に広島から福山に研究活動の本拠地が移ったことが重要な条件となりました。一方、そのため、福山を本拠地に備後地域における資料調査はすべて自家乗用車によって行っており、出張費用はほとんど発生しませんでした。平成26年度の研究調査はおおむね順調に進展しています。
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今後の研究の推進方策 |
最終の平成27年度に平成25年度から整理・分析してきた府中家具工業協同組合所蔵資料に基づいて新しい論稿「安定成長期以降の備後府中家具産地の変貌:産地再生に向けての模索と新たな胎動」を完成させる予定です。また、平成26年度に発掘した広島県アパレル工業組合と広島県織物工業構造改善組合の所蔵資料を整理・分析し、論文としてまとめる予定です。さらに、戦後地方工業集積の総合的研究を目指して基幹産業として機械・金属工業の資料調査を開始する予定です。戦後地方経済のダイナミズムを析出すべく、地方工業集積としての家具、繊維産業、機械・金属工業を総合的にとらえることを試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究活動拠点が平成26年度に広島から福山に移ったことで、福山や府中における資料調査や業者への聞き取り調査は実質、自家乗用車で行っており、出張費用は発生しなかったためです。
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次年度使用額の使用計画 |
新たに機械・金属工業の調査を行います。それにあたって広島や大阪、東京への出張が予定されます。
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