1880年代はドイツ事前営業認可制度において一大転換点をなしている。その主要な指標の一つが営業監督官の役割の拡大である。本研究は、彼らの役割を「企業家のための専門家」と捉える古典学説の批判的検討を狙いとした。本研究では、1880-1900年に発生した認可闘争に関する事例研究と、企業利害の代弁者である「化学連盟」が認可制度の改革を求めた嘆願活動との追跡から、営業監督官の中立的活動と、企業が「味方」と見なしていなかったことを明らかにした。制度的束縛のなかで労働者・住民保護の実をあげるために彼らは、実践可能な「最良の技術」を提案していたことを確認した。
|