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2016 年度 実績報告書

18世紀カタルーニャ綿業にとっての捺染亜麻布と植民地産綿花

研究課題

研究課題/領域番号 25380436
研究機関愛知県立大学

研究代表者

奥野 良知  愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20347389)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードカタルーニャ / 綿業 / 綿工業 / 捺染 / 更紗 / 綿花 / 亜麻布 / バルセロナ
研究実績の概要

カタルーニャは18世紀末から19世紀前半にかけて、綿業を主導部門とする産業革命がスペインで唯一生じた地域である。18世紀初頭に誕生したカタルーニャ綿業はマルタ島産綿糸を用いていたが、1780年代になると、シュレージェン等から輸入された亜麻布がバルセローナの更紗製造企業で捺染された後にスペイン領アメリカ植民地へ輸出され、その対価として植民地から綿花が輸入され、その綿花で作られた更紗が国内市場で販売されるという興味深い流通生産構造が成立した。ちなみに、カタルーニャ産の綿布は常に純綿布だった。他方、鈴木良隆は、短繊維のレヴァント綿では経糸用綿糸の紡績に高度な熟練が必要とされたが、長繊維のアメリカ綿を用いることで、ヨーロッパでも在来の技術(紡車)を用いた純綿布の生産が、アークライトの水力紡績機以前にすでに可能となったとしている。では、鈴木の見解をカタルーニャに当てはめるとどうなるのか、というのが本研究の問いであり、研究の結果、以下の諸点が分かった。①「アメリカ綿の質はレヴァント綿とは比較にならないほど優れて」いるのに対し、レヴァント綿は「繊維が非常に短く機械で紡績に適していない」との記述が、対英戦争により植民地産綿花が輸入しづらくなった1798年以降に史料に散見されるようになる。②それゆえ、これは「亜麻布」という「ヨーロッパの在来の古い物産」に「捺染」という「ヨーロッパにとっての新しい技術」を施した捺染亜麻布を植民地へ輸出し、その対価として「長繊維のアメリカ綿」という「ヨーロッパにとっての新しい材料」を輸入することで、レヴァント綿という「古い材料」から脱却していったといえる。③ただし、捺染亜麻布は特に1780年代は実は国内でもかなり消費されていたことと、1790年代に入ると更紗の消費が急増するのに対し、捺染亜麻布の国内消費は減少していったことには留意する必要がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] カタルーニャの独立へ向けた「プロセスproces」の現状(2017年1月時点)と経緯2017

    • 著者名/発表者名
      奥野良知
    • 雑誌名

      共生の文化研究

      巻: 11 ページ: 48-72

    • DOI

      info:doi/10.15088/00003024

    • オープンアクセス
  • [学会発表] カタルーニャの独立へ向けた「プロセスproces」の現状2016

    • 著者名/発表者名
      奥野良知
    • 学会等名
      京都イスパニア学研究会創設25周年記念大会
    • 発表場所
      キャンパスプラザ京都(京都市)
    • 年月日
      2016-12-10
    • 招待講演
  • [学会発表] スペイン史上の18世紀2016

    • 著者名/発表者名
      奥野良知
    • 学会等名
      日本18世紀学会
    • 発表場所
      愛知県立大学(愛知県長久手市)
    • 年月日
      2016-06-25
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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