1780年代に成立したカタルーニャ綿業の流通生産構造は、シュレージェン等から輸入された亜麻布がバルセローナの更紗製造企業で捺染された後にスペイン領アメリカ植民地へ輸出され、その対価として植民地から綿花が輸入され、その綿花で作られた更紗が国内市場で販売されるというものだった。これは、「亜麻布」という「ヨーロッパ在来の古い物産」に「捺染」という「ヨーロッパにとっての新しい技術」を施した捺染亜麻布を植民地へ輸出し、その対価として「長繊維のアメリカ綿」という「ヨーロッパにとっての新しい材料」を輸入することで、マルタ綿糸という「相対的に古い材料」から脱却していったと解釈できるということを明らかにした。
|