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2014 年度 実施状況報告書

日銀引受国債発行とシンジケート銀行―大蔵省、日本銀行、シ団銀行の三位一体的考察―

研究課題

研究課題/領域番号 25380441
研究機関麗澤大学

研究代表者

佐藤 政則  麗澤大学, 経済学部, 教授 (10192600)

研究分担者 神山 恒雄  明治学院大学, 経済学部, 教授 (50221891)
永廣 顕  甲南大学, 経済学部, 教授 (70268514)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード高橋是清 / 日銀引受国債発行 / 高橋財政 / 国債引受シンジケート / 国債市場 / 深井英五 / 井上準之助 / 池田成彬
研究実績の概要

平成26年度では、次の二つの課題を追究した。第一に、日銀による国債売買「市場」の構造とその変化について、日銀アーカイブ所蔵資料を中心に分析・検討する。第二に、大蔵省・国債引受シンジケート銀行・日本銀行の三者連携による金融財政ガバナンスの周辺ないし枠外で活動する地方都市・農村の市街地信用組合に焦点を当て、上記ガバナンスの有効範囲を検討する。
第一の課題に関して、現時点で得られている見通しは次の通りである。1932年12月から始まる日銀引受国債の売りオペレーションにおいて、日銀が引き受けた国債の過半を購入したのは金融機関であり、その中心は国債引受シンジケート銀行団であった。さらにシ団の中核を成していたのは、三井、三菱、住友、第一、三和、安田のいわゆる五(六)大銀行であり、なかでも三井、三菱の財閥銀行がグリップを握っていた。したがって国債消化力と言われていたものの実態は、三井、三菱の財閥銀行における国債への投資余力であった。しかも高橋蔵相は、投機以外の経済行動に不介入、放任を基本としていた。この結果、非常時財政の帰趨が財閥銀行の自律的な経営行動に委ねられるという様相を呈した。これが非常時に身を置く第三者には「不当」と映ったのである。1936年の2.26事件において高橋が「資本的財閥の代表者」 と見做され標的とされた所以であろう。馬場・結城財政は高橋財政のあり方を非常時で「矯正」していくものと考えられる。
第二の課題に関する見通しは次の通りである。大銀行を中軸とする金融の在り方とは別個の原理を有する協同組合金融が、金融機関としての金融機能を本格的に備えていくのは、馬場・結城財政以降と考えられる。その出発点は高橋財政期に象徴される金融財政ガバナンスに対する底辺からの痛烈な批判にあった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

日本銀行アーカイブの資料は、平成25年度には入手するまでに相当の時間がかかり、研究の進展が遅延気味であったが、26年度には順調に入手できるようになった。しかし予想以上に膨大な量となり、その整理・分析にはかなりの労力・時間を投入せねばならなかった。資料が豊富であることは喜ばしいのであるが、現時点でも、納得のいく分析状態にはなっていない。このため計画していたワーキングペーパーの執筆・作成が大幅に遅れてしまった。

今後の研究の推進方策

1.代表者と分担者の連携は緊密に維持されており、最終年度である平成27年度において成果を取りまとめることは十分可能と考えている。
2.遅れている資料の解析を促進し、1910年代、20年代、30年代の日銀国債売買「市場」を俯瞰できるように研究を進める。
3.これまでの成果は、麗澤大学経済社会総合研究センターのワーキングペーパーにまとめ公表し、批判を仰ぐ。

次年度使用額が生じた理由

資料分析の遅れから、発行を予定していたワーキングペーパーの支出が発生せず、その他の支出についても影響が生じたことによる。

次年度使用額の使用計画

1.最終年度となる本年度は、年度初めからワーキングペーパーの作成・刊行をめざして代表者、分担者とも作業を進めている。
2.また引き続き、日銀アーカイブを中心に資料の入手を進める予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 高橋財政期の国債消化力とは何だったのか―日銀売りオペとシンジケート銀行―2015

    • 著者名/発表者名
      佐藤政則
    • 雑誌名

      経済志林

      巻: 82巻4号 ページ: 191-204

    • オープンアクセス

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公開日: 2016-05-27  

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