| 研究課題/領域番号 |
25380448
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| 研究機関 | 明治大学 |
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研究代表者 |
佐々木 聡 明治大学, 経営学部, 教授 (40205844)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | 経営史 / 中間流通 / 卸業 / 日用雑貨 / 多段階取引 / 合併 / 石鹸・洗剤 / 二次卸 |
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| 研究実績の概要 |
２０１５度は日用雑貨の有力卸売企業の経営史研究の事例として，昨年度に引き続き，中部地方から広域展開する伊藤伊を検討の対象とした。まず，三代目社長が就任した１９８５年から２０００年代前半にかけての所有と経営，経営者の方針，従来の二次卸との取引中心から小売直販へとシフトしてゆく過程を検証した。次いで，１９８５年から１９９５年頃までの情報システム化，物流システムの近代化，同じ名古屋地区の有力卸企業の合併と岐阜の二次卸の北陸の会社による併合などの過程を検証した。調査の範囲は，名古屋をはじめ大阪や東京および長野県などと広範囲に及んだ。この実証的な検討の成果は，後記のように，所属する機関の学術論集への２編の論文の掲載によって公開した。
本研究によって得られた知見の概要は，次の通りである。まず伊藤伊は１９８０年代半ばから２０００年代初期までに資本金を１０倍強まで増加させた。伊藤家による所有比率は低下したももの，株式店頭公開を経てもその比率が５０％を割ることはなかった。同族所有の色合いが濃いままではあったが，経営陣をみると，若手経営者が育つとともに，被合併会社の経営者や外部経営者が加わり，多彩なものとなった。小売直販の推進と水平的広域転換によって，伊藤伊の仲間（二次卸）取引比率は１９９０年には５０％を割り，２００２年度には２０％までに低下した。またこの過程で，先代までの時代に蓄積された豊かな内部留保によって，情報・物流投資を積極的に行い，LCO（Low Cost Operation）とHCO(Highly Competetive Operation)の経営方針のもとに，システム機能の進化と広域展開により伊藤伊は広域的なグループ経営を展開するにいたった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
２０１４（平成２６）年度の実施状況報告書の今後の研究の推進方策に記した研究実施計画に沿って，研究活動を実施することができたし，主な研究成果を学術雑誌に発表することができたからである。
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度の研究実績を基礎に，２０１６（平成２８）年度は，１９９５年以降の伊藤伊の本格的な広域展開の過程をはじめ，１９８５年から２０００年代初頭までの伊藤伊の財務・会計状況の詳細な検討に進みたい。
検討に際しては，従来通り，伊藤伊の関係者への聞き取り調査と史料調査はもとより，後に伊藤伊と合併する多くの企業のほか，伊藤伊にとって刺激や脅威となった競争企業，さらには伊藤伊の協調・競争とは離れた立場にあった企業の関係者への聞き取り調査と史料調査が必要である。また，情報システムや物流システムについては，実際の見学により，その変化の過程を詳細に知る必要もあろう。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査のための出張が実現できなかったためである。
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| 次年度使用額の使用計画 |
２０１６年度の春学期中に調査（出張）を実施の予定である。
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