19世紀末葉から20世紀初頭にかけて、多角的な貿易・決済機構を基盤とするイギリスの通貨ポンドは、基軸通貨としての地位を享受していた。しかし、第一次大戦、1930年代大不況、そして第二次大戦を経ていく中で、ポンドはドル、フランと並ぶ有力な国際通貨の一つに過ぎなくなる。かかる中で、イングランド銀行の著名な「マネー・ドクター」の一人であるニーマイヤー卿(Sir Otto Niemeyer)が、イギリスの金融・経済的利害推進のためにいかなる活動を展開したのかを、イギリス公文書館(The National Archive)の一次資料を用いながら明らかにすることができた。
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