研究課題/領域番号 |
25380454
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
浅野 敬一 東京工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30369946)
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研究分担者 |
河村 豊 東京工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10369944)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 史料調査 / 文献調査 / 資料発掘 / プログラム開発 / 定量分析 |
研究実績の概要 |
1、資料等の収集、整理、分析を行った。第二次大戦後(一部は第二次大戦中)から高度経済成長前までの時期を対象に、必要な資料、書籍等の収集、整理、分析を行った。26年度には、新たに開示または利用可能になった組織化政策に関する資料があったため、これらの分析を集中的に進めている。また、一部金融政策や製造業を中心とした診断・指導政策に関する資料の収集等も行った。研究分担者は、引き続き技術関係の資料等の収集、整理、分析を進めるほか、旧海軍実験所跡の実地調査に基づき、海軍技術者による戦後の起業活動についても調査を行った。また、史料の分析を円滑に進めるため、一部史料の電子データ化を行った。 2、データの整理、突合、政策ネットワークのスケッチを行った。国会議事録のデータを中心に、特定のキーワードを含む発言をパラグラフごとに整理できるプログラムを新たに開発し、パラグラフのデータの検証を行った。この方法は、国会図書館が提供するAPIに比べて、一つの発言に含まれる多様な内容を整理できること、キーワードが連続して用いられた場合でも過剰な評価を回避できること等で優れていると考える。結果、パラグラフを単位として、複数のキーワードの共起性等を分析できる可能性を見出し、当初の計画通り政策形成過程を定量的に分析する目途をつけることができた。また、プログラムによる定量分析結果と歴史分析の結果の突合を行い、定量分析の妥当性が高いこと、従来手法による歴史分析では想起困難な内容の抽出ができる可能性があることも明らかになった。なお、政策ネットワークの図示については、定量的な整理ができれば図示そのものには大きな問題はないが、研究の意図が簡明に表現できるよう引き続き連携研究者と検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、資料の収集、整理、分析は、順調に進んでいる。また、新たに利用できる有用な史料を見出して、収集等の作業に着手することができた。2、独自のプログラムを開発し、定量分析の目途がついた。25年度のプログラムは、データを収集しデータベースを作成する段階であった。しかし、26年度のプログラムは、これを大幅に改善、データの本文を直接分析するデータマイニングの方法を採用し、上記のとおり特定のキーワードを含むパラグラフ単位の分析を可能にした。これにより、中小企業政策の形成過程を定量的に分析する目途を得ることができた。3、科学技術が中小製造業等に与えた影響について、第二次大戦中の研究成果からの継承を中心に具体的な事例を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1、プログラムを用いた分析を進め、政策ネットワークを実施に図示することを試みる。2、26年度に新たに発掘した資料のうちとくに有用なもの(広島県公文書館等)については、早急に収集、整理を行う。3、研究成果の取りまとめを行う。すでに、論文執筆の準備を進めている。なお、申請書では、プログラムやそれにより整理したデータの公開も視野に入れていたが、元データの著作権等に関する問題が生じる可能性があるため公開は行わない。論文等での成果発信に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部出張を他の用務と兼ねたため、旅費の支出が減少した。また、研究補助者の作業が迅速にすすんだだめ、その分人件費が減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
既述の通り、新たに利用可能な史料を発掘したため、その閲覧、収集等の旅費に用いる。また、定量分析を詳細に行うためのソフトウェアが必要となる可能性があり、その購入に用いる計画である。
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