研究課題/領域番号 |
25380461
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
砂川 伸幸 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90273755)
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研究分担者 |
中岡 孝剛 近畿大学, 経営学部, 講師 (50633822)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | クロスボーダー / 株式資本コスト / カントリー・リスクプレミアム / 相対的ボラティリティ / 為替リスク |
研究概要 |
クロスボーダー・バリュエーションにおける資本コストの推定について,先行研究の文献を調査し,カントリー・リスクプレミアム(CRP)と新興国のハイリスクなエクイティ・リスクプレミアム(ERP)について,試験的な推定を行った。 文献調査の結果,株式資本コストについて,大域的なグローバルCAPM(Global-CAPM:G-CAPM)と局所的な現地CAPM(L-CAPM)の二つのアプローチがあることを理解した。研究対象も二つのアプローチに絞り,IFRSの教育マテリアルにも紹介されているソブリンスプレッドによるCRPと相対的ボラティリティによるERP指標の推定を行った。データソースはBloombergである。 ソブリンスプレッドについては,各国の格付けとドル建て国債の利回りデータを用いて,世界150カ国程度のCRP指標を推定した。相対的ボラティリティについては,過去5年間60ヶ月のデータを用いて,アジア新興国の株式市場のボラティリティとMSCIワールド指数の収益率のボラティリティの比率を算出した(ERP指標とする)。CRP指標とERP指標の間には正の相関が観察された。国債利回りが高い国の株式市場のボラティリティは高いといえる。ボラティリティについて,通貨を円ベースと現地通貨ベースで比較したところ,アジア諸国(タイ,ベトナム,インドネシア,マレーシア,フィリピン)では,円ベースのボラティリティの方が現地通貨ベースより高いことを発見した。これは,日本企業が円で投資して円で回収する場合,為替リスクが加算されることを意味している。適切な為替予約などで為替リスクをヘッジすることが好ましいという経営へのインプリケーションを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献研究と試験的な実証研究が,予定通り進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,試験的な実証研究で得られた結果の頑健性を確認し,新興国に投資を行う際のカントリー・リスクプレミアムとエクイティ・リスクプレミアムの指標を提示すると同時に,時系列的な推移を確認する。また,実務界の方々と意見交換し,実務現場の感覚との一致性を確認していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
非常に微小な金額であるため,本年度にあえて使用する必要性はないと判断した。 備品に充当する予定。
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