本年度の研究実績は次の3点である。1点目は、最終年として2つの質問票による調査を行なったことである。具体的には、前年度までに行なってきた調査と同様の調査を行い、分析フレームワークの頑健性を確認するための調査であり、1つはリーダー行動、具体的には倫理的リーダーシップならびにボトムラインメンタリティと自律的行動(プロアクティブ行動、情報共有行動、顧客志向行動)の関係に焦点あてた調査であり、もう1つはキャリアの自律性に対する組織や職場のサポートに関する研究である。2点目にデータの分析とそれに基づく論文の執筆を行なった。これまでに収集したデータならびに今年度収集したデータをもとにデータの分析と論文の執筆を行なった。リーダー行動と自律的行動の関係に関しては、分析の結果、ボトムラインメンタリティの強いリーダーと顧客志向行動の間には逆U字型の関係があることが示された。しかしながら、データの収集が遅くなったこと、それぞれの2回にわたる調査結果において結果が一致しないことなどから、より詳細な分析が遅れ、現時点ではまだ執筆が完成していない状態である。3点目として、2件の研究業績の報告がある。2016年度原価計算学会全国大会(於 中央大学)の統一論題において、基調講演(「組織行動と会計情報」)を行い、職場の自律的行動についての研究成果の一部を報告した。また前年までのキャリアならびに職場における自律的な学習に関する研究成果を招待セミナーにおいて発表(「組織が支援する「2020年とその先に向けた個人の学びを考える」を2度にわたって行ない、研究成果を公表した。
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