本研究が対象とする,巨大多国籍企業を主体とした,BoPビジネスの実施モデルと位置づけられるCSV(Creating Shared Value)概念の論理とそのBoPビジネスの実施モデルとしての妥当性およびポテンシャルを検討した。 主として研究代表者が,昨年度までの既存の研究成果と関連づけ,CSV概念の論理の解題とその社会的責任ビジネス展開に関する可能性や問題点を,経営学研究における関連概念との系譜づけの下に明らかにし,研究分担者がCSVアプローチによるBoPビジネスの可能性や問題点を明らかにした。とりわけBoPビジネス特有の倫理的問題を浮き彫りにした。 こうした研究成果は主として日本経営倫理学会における報告やジャーナルを通じて発表した。 また本研究成果を発展させるべく,海外(豪州)の研究者に協力を仰ぎ,2015年10月から半年共同研究を行い,当該成果を本年6月19日学会報告を行う。本研究が主として戦略やビジネス・モデルなど企業組織の行為性に注目して,社会的責任ビジネスの問題を照射しようとしたのに対して,海外研究者との共同研究は主として会社制度の差異による社会的責任ビジネスへの影響の検討を対象としている。 当該共同研究は,本研究助成の成果をベースとし,学会報告のみならず学術研究論文としても発信していく。
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