計画に基づき、CSRを実践している企業のCSRコミュニケーション(以下、CSRCとする)の実施状況と手続きが公正なCSRCのフレームワークの評価や効果を確認するため、業種の異なる6つの企業(東京地区1社、埼玉地区5社、内1社は26年度にもインタビューを実施)にインタビュー調査を実施した。その結果、これまでと同様に、手続きが公正なCSRCはその手法や汎用性が評価された。また、CSR活動の進捗状況や種類、業種や規模がCSRCに対する意識(考え方)や、CSRCのプロセスに影響を与えていることが分かった。CSR活動が企業経営と一体化していた企業では、独自のスタイルにて経営活動の中でCSRCが上手く活用されており、業務の改善や従業員のロイヤリティの向上、企業のレピュテーションの向上に役立っていた。特に、社内では意識することなく手続きが公正なCSRCが実践され、業務の効率化等を含めた経営改善にも影響を及ぼしていた。第2回目のアンケート調査の結果、CSR活動やCSRCの重要性に関する企業の認識が以前より高まっていること、CSRCを自社のCSR活動に活用していることも分かった。 研究を通して、2回のアンケート調査、18社(内1社は、4年間継続し経年変化を確認、1社は隔年で2回経年変化を確認)に対するインタビュー調査を実施した。さらに、中小企業のCSR認証制度を設けている自治体の担当者にもインタビューを実施し、CSR活動やCSRCの特徴や変化について確認した。これらの結果から、手続きが公正なCSRCのフレームワークは、概して汎用性が高い(推奨される基本となる形)ことが明らかになった。また、そのプロセスや内容、得られる効果(従業員の満足度向上やCSR行動の促進等)等から、企業と従業員の両者にとって望ましい手法であること、CSRCをマネジメントする際にも有効な手法であることが分かった。
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