本研究は、新しい事業ビジョンや経営理念といった経営構想の組織横断的伝播の解明を図るべく、以下の3つのサブテーマに取り組んでいるが、3カ年計画の最終年度である平成27年度のそれぞれのテーマごとの成果は以下の通りである。 (a)「組織外伝播プロセスについてのミクロレベル分析」については、同一の組織のメンバーでありつづけながらも他の社会組織に関わる休業経験を取り上げ、そうした経験によって生じる変革志向について分析を行い、学会発表を行った。(b)「人の移動に伴う経営構想の組織外伝播についての探索的事例分析」については、当該組織を離職し別の組織に移った元従業員が経営構想や知識の伝播に与える影響について、組織アイデンティフィケーション理論に基づいた分析を行った論文が査読誌に掲載された。また、英文査読誌への投稿に向けて、ディスカッションペーパーを執筆した。(c)「アイデンティティ・ダイナミクスからの理論枠組みの構想」については、ワークアイデンティティの変化が行動に反映されるプロセスに注目したジョブ・クラフティングに着目したレビュー論文を執筆中である。
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