研究課題/領域番号 |
25380481
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
梅原 英一 東京都市大学, メディア学部, 教授 (00645426)
|
研究分担者 |
諏訪 博彦 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (70447580)
小川 祐樹 立正大学, 地球環境科学部, 助教 (40625985)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | ソーシャルメディア / 株式市場 / 自然言語処理 / ファクターモデル |
研究実績の概要 |
インターネット株式掲示板などのソーシャルメディアに投稿されたメッセージは、投資家の意見やセンチメントを表している。株式掲示板と株式市場の関係を分析することで、新たな投資意思決定モデルや経営情報の指標の開発ができることが期待される。しかし、従来の研究では、日次データ・月次データによる分析が多い。また、指標も強気ー弱気分析に代表されるような自然言語処理から投稿メッセージの気持ちを推定した研究が多い。そこで我々は以下の2点に着目して分析する。 第一に、強気―弱気分析以外の指標を探すことである。このために本研究では、投稿メッセージと株式リターンの関係に関する月次データを用いたファクターモデルを構築した。この結果、株式投資に関する3つのファクターの抽出に成功した。これは(1)短期株式投資に関するファクター、(2)業種に関するファクター、(3)金融経済状況に関するファクターであった。この結果は、Stock BBS Factor Model using Principal Component Score, Advances in Comuputational Social Science,Springer. pp.3-15 (2014)として公表した。 第二に、日中足データの分析である。ソーシャルメディアの投稿が投資家気持ちを表しているならば、その結果は株式市場の動向を反映しているはずである。株式市場における投資家の気持ちを反映している指標として、ボラティリティインデックスが開発されている。日本では日経平均ボラティリティインデックスとして日経新聞社より公表されている。また、先高・先安の予測指標として、現先スプレッドも利用されている。そこで、我々はこれらに指標と株式掲示板の投稿メッセージの関係を分析している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日中足の分析に対応した自然言語処理の分類器の開発を行っている。精度は70%程度となり、ほぼ先行研究の精度は出ている。この分類器の作成が若干手間取り、これによりスケジュールが遅れている。 現在、分類器はほぼ完成したので、これより株式市場との分析を行う。遅れを取り戻す予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策は以下の3点である。第一に日中足の分析を行うことである。特に、先行研究ではあまりリファレンスされてないボラティリティインデックスに注目し分析を行うことである。これにより、投資家の投稿メッセージが株式市場の気持ちを表しているかを分析することである。 また、本研究の分析を行う過程で、我々はTwitter(ミニブログ)のメッセージに着目した分析も行った。ミニブログには、公式アカウントと呼ばれる情報発信元がある。この公式アカウントの情報発信のあり方が、大衆の感情に影響を与えている可能性がある。ミニブログにおける公式アカウントの情報発信のあり方を解明することも今後の研究課題となると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度、国内での学会発表を行う予定であったが、原稿の作成が間に合わず延期としたため、旅費分の残高が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
旅費(愛媛県、松山市)に使用する。
|