研究課題/領域番号 |
25380482
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
三和 裕美子 明治大学, 商学部, 教授 (10287881)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エンゲージメント / 機関投資家 / スチュワードシップ・コード / ESG投資 |
研究実績の概要 |
1.当初計画していた海外の年金基金のインタビュー調査については、学内研究ユニットで共同研究を行っている日興リサーチセンターの調査を活用することができた。またオーストラリアのエンゲージメント代行機関のエンゲージメント手法に関する調査を行った。 2.国内の11機関投資家のエンゲージメントのヒアリングを調査を行った。わが国エンゲージメントファンド、代行会社、アセットオーナーへのヒアリングを基に、エンゲージメントの状況を確認できた。確認できた内容については以下のようである。①わが国においても、スチュワードシップ・コード導入以前から、企業の中長期的成長、変革を目指すファンドが存在している。②これらのファンドのエンゲージメントのテーマは、企業の経営・財務戦略、開示、ガバナンスなどであり、欧州の機関投資家に見られる責任投資とは異なる。③スチュワードシップ・コードが導入されたことにより、アセットオーナーは運用機関のエンゲージメントを評価し、公表する方針であるが、運用スタイル毎にエンゲージメントのレベルは違い、アセットオーナーはその評価方法を明確にする必要がある。④今後機関投資家と企業の対話は進むと考えられるが、インサイダー取引問題に対する管理体制が重要な問題となる。⑤共同エンゲージメントについては、ほとんどの機関投資家は否定的な見解をもつが、体制が整えられれば有効に機能する可能性がある。エンゲージメントは従来の機関投資家の投資戦略を超えた集中投資戦略であり、そのリスクを負うものである。この点に関連して、アセットオーナーもコスト負担を共有する仕組みも考える必要があることが明確になった。 3.企業の社会的責任についての調査では、企業活力研究所の研究会に参加し、企業の取り組み状況について理解が深まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外の機関投資家へのインタビューなどにより、機関投資家のエンゲージメントの動向が明らかになった。課題としては、企業のESGリスクの評価方法が明確になっていない点である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、わが国機関投資家(主に資産運用会社)のESGに関する意識調査(アンケート等)を行っていく予定である。また、わが国の状況に則したESGリスク項目を検討する。
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