本研究から得られた成果は次の2つである.企業は(製品の)多角化を負債という手段で進めようとするが,「選択と集中」という戦略をも同時に進めようとする.この時,同業他社より,多角化の程度の進んでいる企業が「選択と集中」を進めようとするほど,負債を減らす傾向がある.次に,製品・サービス市場における企業間の競争が激しくなるほど,企業は流動性を保有しようとする.しかしながら,その企業の市場支配力が高まるほど,そのインセンティブは弱まる. 以上の研究成果から得られる結論は,次の2点となる.(1)経営戦略には,それに適合した資金調達手段が存在する(2)流動性の保有状況は,企業間の競争環境から影響を受ける.
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