平成28年度は、京都と神戸の菓子店舗の産業集積から業界の構造に視点を置くことで、地域性という視点から人材育成のしくみを見てみた。 京都ではこの数年、インバウンドビジネスとして和菓子から洋菓子へ進出したり、新たな洋菓子店舗やカフェが急増している。また、海外ブランドの洋菓子店舗も多く流入しているが、それらは基本、地元の消費者をターゲットにしている。地域の人からのヒアリングからもわかったことは、京都での開業において、長期的に存続したいのであれば、京都の地元の人たちに認められるものであるか否か、一言で言えば、その店舗の存在により、地元が京都ブランドとして高められるかどうかによるということである。すなわち、人材育成として徹底した「麦踏」があり、その麦踏に耐えることができるノウハウを身に付けておかなければならない。 一方、神戸では、それまでの大手洋菓子企業群ならびに地域密着型の企業群に新たに土産商品中心の後発菓子企業が加わり地域経済を支えているが、景気や労基法といった社会的環境の変化などにより、これまでの地域密着型の企業群を支えてきた将来独立志望の職人が減少している。さらには、これまでの人材育成の仕組み(不文律の遵守)がうまく機能しなくなってきていることが明らかになった。 そうした人材育成の根本となる「仕事といかに向き合うか」ということを掃除という視点から明らかにした。 平成28年度の実績は図書2件(1件は分担執筆)である。
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