研究課題/領域番号 |
25380494
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤本 雅彦 東北大学, 経済学研究科, 教授 (90374884)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 事務系ナレッジワーカー / エリート社員 / スコープ拡大学習 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、平成29年2月23日より3月23日までの1か月間、大手総合商社の事務系の若手ナレッジワーカー14名を対象としたインタビュー調査を実施した。今年度までの調査対象企業は5社で、事務系ナレッジワーカーのインタビュー対象者は59名に達した。 これまでの調査対象企業5社の業種・職種に関して、流通小売の販売および製薬企業のMRの2社と、大手情報産業や大手金融機関および今回の調査対象企業である大手総合商社の3社にはいくつかの異なる特徴が発見された。 後者の3社は、新卒採用においても入学試験の偏差値の高い一流の大学出身者が大半を占めており、優秀な社員を多く抱える日本を代表する一流企業と言われている。こうした日本企業を代表するエリート社員が一人前に成長するキャリア発達のプロセスには、一般的な日本企業には見られない幾つかの特徴が存在することが明らかになりつつある。 現時点では調査結果の分析中だが、こうした日本を代表する優良企業の若手社員の中でもパフォーマンスの高いエリート社員に共通する特徴の一つは、社会人5年目頃の半人前の時期から事業や自社組織に関する視野が大きく拡大するメタ認知を伴う学習を経験していることである。こうしたスコープの拡大は、経営者に要求される視野や大局観に発展する可能性が高く、将来の幹部候補として不可欠な要素である。 そして、こうした転機は、本人にとって挑戦的な仕事の機会を提供されることによってもたらされ、この時期から経営幹部としての選抜が始まっているとも考えられる。 今後は、こうした副次的な分析結果も踏まえて、最終的な調査結果の分析に取り組んでいきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までの調査対象企業は5社で、事務系ナレッジワーカーのインタビュー対象者は59名に達した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、インタビュー調査を実施した59名の事務系ナレッジワーカーの調査結果を統合して分析を進める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度のインタビュー調査対象者のインタビュー場所が、すべて先方の東京都内の本社会議室にて実施されたため、国内旅費の支出を抑制することができた。また、対象者も14名に絞られたため、文字起こしの謝金費用も少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も調査対象企業を1社ほど追加調査した上で、これまでの調査結果を統合して最終的な分析結果をまとめる計画である。
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