本研究は、イノベーションを起こす主体が、大企業の社内組織から、ベンチャー企業や大学を中心としたイノベーション・エコシステムに大きくシフトしているとの前提に立ち、大企業が技術調達のために行う研究開発型ベンチャーの買収に関する研究を通して、イノベーション促進のメカニズムを解析するものである。そのため本研究では、ベンチャーの資本構成や組織形態とEXIT戦略との関係を分析すると共に、東京大学関連ベンチャーのデータベースを活用して、産学連携を通して生み出されるベンチャーの調査研究を行ない、また、買収する側の大企業に関しては、特に日本企業での研究開発型ベンチャー買収の障害要因を分析する。 本年度は、東京大学関連ベンチャーのデータベースを活用して、産学連携を通して生み出されるベンチャーの調査研究を中心にして行った。東京大学関連ベンチャーに関して、買収やIPOによるEXITの分布も含めて「東京大学における大学発ベンチャーの属性に関する分析」を、研究・技術計画学会年次大会に発表するとともに、「大学発ベンチャーは本当に減っているのか?」とのタイトルの下に、大学発ベンチャーを数える立場からの問題提起を、日本ベンチャー学会全国大会にて発表した。また、本データベースを用いて「大学発ベンチャーの企業価値形成と資金調達にインパクトを与える要素の定量分析」を研究・技術計画学会年次大会に発表した。
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