研究課題/領域番号 |
25380500
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
宮崎 久美子 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 教授 (20281719)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スマートハウス / 標準 / 電気自動車 / 技術戦略 / ICデザインサービス / ビッグデータ / 放送サービス / イノベーション |
研究実績の概要 |
電気自動車EV分野における技術革新に焦点を当て、技術変化と学習効果の関連性に関する複雑な事象を対象に、その軌道を識別するオリジナルなダイナミックな測定方法を、特許の計量書誌学的調査方法をベースに開発し、海外のジャーナルに受理された。また、技術能力チェーンという概念を提案した上で、中国における先端企業がEV分野に参入し、技術競争力を短期間で蓄積して行ったキャッチアップ戦略について事例研究を行い、米国で行われた技術経営の国際会議PICMETで発表した。クラウドコンピューティングとビッグデータの知識のコンバージェンスが起きるメカニズムを解明する計量書誌学的手法を開発した。その上でマレーシアにおけるクラウドサービスの特徴について分析し、ビッグデータを活用する事による新しい機会の創出についてサービス提供者に提言をし、国際会議PICMETで発表した。ビッグデータの利活用により、公共サービスで起きているイノベーションに焦点をあて放送サービスイノベーションが起きる経緯について放送サービスのバリューチェーンを元に、ビッグデータの4Vとの関連性について仮設を立てNHKと英国のBBCで進行中の6つのプロジェクトを対象に比較分析を行い、アジアで開催されASIALICSというMOTの国際会議で発表した。日本とドイツにおけるスマートハウスに関する標準であるエコーネットとKNX を対象とし、スマートハウスの普及にかかわる、異なる主体(関連機器メーカ、政府、標準化団体)を対象に、ヒアリングを元に、スマートハウスの普及を妨げる要因や日独の標準戦略の強み、弱みなどについて分析し、ASIALICS で発表し、海外のジャーナルに受理された。台湾のICデザインサービス企業が戦略的提携によりエコシステムを形成している過程についてケーススタディーを行い、研究成果は海外の一流ジャーナルに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米国で開催されたMOT分野の国際会議PICMETやアジアの技術経営や技術政策の国際会議ASIALICS を含む国際会議で9回発表を行った。(2016 9月にはPICMET で2本発表する予定である。)また、海外の一流ジャーナルにも6本(受理を含み)掲載され、研究はおおむね順調に進展したと言える。 しかしながら3年目に完全に終了しなかった理由は主に3点あげられる。東工大で大規模な組織(及び教育)改革が平成28年4月に行われ、その準備で多忙であった。放送大学で2017年に開講される「技術経営の考え方」という講座の主任講師(放送大学の客員教授)となり、講座で使われる15章から成る教材テキストの執筆作業に予想以上時間を割すことになった。また、当初予期していなかった文部省からの依頼で2015年12月から「もんじゅのあり方の検討会」の有識者として委員になり、時間を割くことになった。
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今後の研究の推進方策 |
中国が電気自動車分野でいかにキャッチアップしたのかテクノロジー能力チェーンという概念をベースに新なキャッチアップ理論を構築している段階であり、ジャーナル論文を修正している最中である。 放送業界におけるビッグデータの利活用戦略について、日本のNHKと英国のBBCの比較分析を行っており、夏にはNHKでヒアリング調査を行い、9月には英国に出張する際、BBCを訪問してヒアリングを行う予定である。データがすべてそろった上で国際比較分析を行う。 スマートグリッドのには電力会社、IT企業、測定機器メーカなど色々関わっているが、その研究開発、技術戦略に関する分析を進めており、2016年の夏に米国で行われる国際会議で研究成果について発表を行い、フィードバックを得た上でジャーナル論文として投稿する予定である。 スマートハウス、スマートグリッド、電気自動車、ビッグデータの放送サービス業界での利活用に関する実証研究を修了した上で総合的な国際比較分析を行い、スマートサービスイノベーションシステムにおけるサービスイノベーションの最適マネジメントを抽出し、その形成パスについて、それぞれの背景に存在する社会経済的、政策的、制度的制約との関連を分析する。総合的実証分析を元に複雑なサービスイノベーションモデルを明確化し、我が国の劣位ポイントを指摘し、あわせ対応策を提言する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の勤務先では平成28年4月に大規模な組織改革が行われ、新カリキュラム案の作成など大学の業務で多忙であった。また、放送大学の客員教授として、新しく開講されるMOT分野の講座の準備のため、テキスト教材の執筆業務に時間を割いたため、予定していた国内出張等を行うことが出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
関西でこの分野の学界と産業界の有識者と、研究成果について意見交換を行うため出張する予定を立てている。
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