研究課題/領域番号 |
25380502
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
平田 透 金沢大学, 人間社会環境研究科, 教授 (10249138)
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研究分担者 |
吉田 武稔 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (80293398)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | クライシス / 経験知 / 意思決定 / 組織的継承 |
研究概要 |
[具体的活動状況] 兵庫県「人と防災未来センター」などにおいて、阪神淡路大震災、東日本大震災に関する文献調査を行い各種報告書等基礎資料の収集を行った。また、災害発生からその後の復旧プロセスを、新聞雑誌記事等の情報検索により把握した。また、自治体、流通・物流企業、教育サービスフランチャイズチェーン本部等を対象に、クライシス発生時の組織的対応とその経験の組織的継承についてインタビューを実施した。対象は、当時の現場責任者、本社本部の対策部門責任者である。これにより、災害発生直後の連絡途絶時における行動実態、業務復旧の過程(対応の優先順位から日常業務に近い状態になるまで)、およびその経験の組織的継承の実態について調査した。 [成果] 災害発生直後は、情報伝達が不可能になり現場担当者の独自判断でさまざまな対応が行われる。その場合の行動原則は、企業において日ごろ理念・ポリシーがどれだけ浸透しているかにより大きく影響されること、経験については、現実に災害に直面した人とそうでない人の間では、暗黙知的な経験面の継承が難しく、時間経過とともに組織内での配置転換や定年退職などの人の異動により経験知が失われていくことが判明した。災害発生直後は、一定の危機意識を持って実施されていた災害対応訓練等についても、形式化していくのが実態である。この暗黙的な「実感」をいかに組織の中で維持していくかが今後の対策における経験知継承の鍵となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビューによる情報収集に重点を置いているため、先方の責任者の方とのスケジュール調整が難しい。特に、決算や年度末等の時期は断わられることが多いため、予定通り進まない状況である。また東京や大阪の大都市圏に本社本部がある組織が主であり、出張で対応せざるをえず設定できる日程が限られる。
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今後の研究の推進方策 |
インタビューの継続に加えて、未入手の公開報告書、地域の状況に詳しい地方紙の記事の収集と活用を図る。また、リスクおよびクライシスに関する対応策の理論的切り口について、先行研究成果の収集を行い、分析フレームワークを再構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
インタビュー調査に関して、調査先の事情によりスケジュール調整が難しく、遅れているために次年度使用額が発生している。 平成26年度は、大学の講義がない期間を利用して東日本大震災被災地において現地調査を行うことにより、計画の遅れを解消する計画である。そのため、前年度繰り越し分については旅費支出により解消する見込みである。また、資料検索の範囲を拡大する。
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