28年度は、次の分析手法でトヨタ自動車のサプライヤー・システムについて分析を進めた。使用したデータは、アイアールシーの『トヨタ自動車グループの実態』である。このデータの1996年版と2014年版の各企業の個表の備考欄から株主をピックアップした。更に、現状の理解に重点をおくため、2014時点から変動を確認できる、1996年の数字に限定をし、出資比率の変動を分析した。特にトヨタグループ16社相互間の出資比率動向を分析とトヨタグループ16社の協豊会への出資比率に重点をおいて考察した。 分析結果は、次のとおりである。まず指摘できるのは、トヨタ自動車によるグループ企業への出資比率の上昇である。具体的には、第一に、最終組立をになうメーカーに対する出資比率の上昇率が高い。第二に、トヨタ自動車以外で、出資比率が上昇した企業は、アイシン精機株式会社、株式会社デンソー、トヨタ紡織株式会社、豊田合成株式会社、株式会社豊田自動織機である。 また、トヨタグループ16社の役割の増加が指摘できる。もちろん、16社が均等に役割をはたしているわけではない。有力な部品メーカーが、16社における持合いでも協豊会への出資でも役割をはたしうることが確認できた。以上の内容については、28年度の産業学会全国研究会で発表した。 発表の議論の中で、今後の課題として、組立メーカーと部品メーカーの取引関係や人的関連も含めた考察が必要であるとの意見がだされた。こうした点や一次部品メーカーと二次部品メーカーについての取引関係についても今後の課題としたい。
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