本研究では、地方の中小企業が少子高齢社会の下で多様な人材を活用しながら要員確保する方策を考えるために、家族ケアを抱える従業員の労働時間管理の方法を探った。 高知県企業のアンケート調査から、企業は労働時間の長さについては是正する方向にあるが、労働時間の柔軟性への制度変更には積極的でないことがわかる。インタビュー調査結果からも、現在の労働時間の制度をベースに、個別調整で対応を試みるほうが、制度改革よりも実施しやすいことがわかる。大きな制度改革を行うことや、従業員に一律の措置が必ずしも必要ではなく、導入の容易性と早期対応の必要性から、出退時刻調整や一時退出のための2時間程度の調整策が重要である。
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