研究課題/領域番号 |
25380508
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
長谷川 光一 九州大学, 科学技術イノベーション政策教育研究センター, 助教 (30426655)
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研究分担者 |
永田 晃也 九州大学, 経済学研究院, 教授 (50303342)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中小企業のデザインマネジメント / 公設試験研究所 |
研究実績の概要 |
公設試験研究所におけるデザイン支援活動と地域の中小企業のデザイン活動を促進する効果についてインタビュー調査を行った。中小企業の多くはデザイン活動と自社の製品開発・改良に関係を見出していない。しかし、技術相談等で公設試験研究所には比較的縁のある企業はもともと存在する。連携の始まりは公設試験研究所が働きかける場合、中小企業が自ら訪問する場合の双方がある。しかし、いずれの場合でも中小企業の技術開発は多くの場合要素技術の開発を中心に考え、最終製品としての使い勝手や見た目といった要素については十分に考慮されていない場合が見られる。また、技術は開発したものの、どのような製品を作るかについて、製品コンセプトや流通、購入対象者などについての十分な考慮が行われていない場合もある。 公設試験研究所と中小企業が連携する製品開発において、公設試験研究所のデザイン担当部門が関与することで、商品の外観・使い勝手等が大幅に変更される事例を見出した。中小企業が開発した基礎技術を具体的な製品として作りこむ過程で公設試験研究所が持つ測定装置や試作装置を用いること、製品開発に関するコンサルティングを行うことで、売上が順調に推移する製品を発売することができた。ただし、デザインの重要性をいかに中小企業が理解するかは簡単ではない。 公設試験研究所の支援は、具体的なプロダクトデザイン等に関する案を提案する機能、外部デザイナー等の紹介をするハブ機能、中小企業の問題を整理するコンサルティング機能等に分かれている。どのような機能を有するかは、その地域の産業構造と公設試験研究所の支援体制の変遷によるところが大きいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度中に、企業を対象とする質問票調査を実施する予定であった。調査対象企業リストの貸与を受けるべく調整していた組織との調整に時間がかかったため、調査実施時期が年度末にずれこんむこととなった。年度末は一般的に企業を対象とする質問票調査の回収率が低迷する。このため、調査時期を年度明けにすることで、回収率の向上を図ることとした。
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今後の研究の推進方策 |
質問票調査の回収率を向上させ、より良いデータを取得するため、調査の実施時期を後ろ倒しした。8月頃に質問票調査を開始し、10月を目処として質問票を回収する。このデータを用い、分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問票調査の回答率を高めるため、年度末の時期を外すことによってその目的を図ることとした。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年8月を目処として質問票調査を実施する。調査は専門業者に委託する。また、得られたデータから特徴的な企業を抽出し、11月以降に、2、3件程度のインタビュー調査を行う。
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