研究課題/領域番号 |
25380510
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
松田 千恵子 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (80613140)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非上場化 / 親子上場 / MBO / 資本市場 / 企業経営 / 経営財務 |
研究概要 |
本研究は、株式市場から自主的に退出する企業を研究対象としている。かつて、株式の上場廃止は倒産などによるネガティブな事象として捉えられ、その数も限られていた。しかし、近年では株式市場から自主的に退出する企業が増加し、その割合は上場廃止企業全体の約8割にも上る。こうした自主的な上場廃止(非上場化)に焦点を当て、企業業績や持株構造、外部環境等にみられる「非上場化の決定要因」を明らかにするのが本研究の目的であり、現在のところ研究は順調に推移しているといえる。 平成25年度においてはまず、国内外における先行研究サーベイを充実させ、特に海外の研究成果にばらつきが生じている状況とその原因、我が国で同様の研究を行う際の留意点を整理した。次に、我が国における非上場化事例を最新の案件まで含めて可能な限り多く収集し、財務業績や株式保有構造、公表された非上場化事由等を含めた非上場化案件データベースを作成した。このデータベースは今後の研究を行う上での基盤となるものであり、初年度に作業が完了した意義は大きい。このデータベースを用いて、既にいくつかの研究成果を挙げることができた。具体的には、非上場化を選択した企業と上場維持企業との財務業績や株式保有構造を定量的に分析し、初期的な検討としての非上場化の決定要因分析を行うことができた。また、非上場化案件にもいくつかの種類があり、例えばMBO(Management Buy Out、経営者による自社買収)や、我が国に顕著な親子上場とその解消といった場合に分けて、分析を進めることができた。これらの成果は、複数の学会発表や査読論文としての発表という形で具体的なものとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、初年度における研究実施計画として設定した内容をすべて達成することができた。一部は次年度に予定した内容にも踏み込んでいるものの、一方では財務指標などの精緻化もまだ必要であり、総合的に勘案して上記の達成度とした。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には順調に推移しているため、当初計画通りの内容を進めていきたい。財務指標の精緻化については今後の研究継続の上でも必要なので可及的に速やかに行いたい。そのうえで、当初計画にある通り、非上場化事由ごとの企業特性の深堀りや、非上場化前後の業績変化等に研究の中心を広げていくことを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
非上場化企業に関する財務および株式関連数値の精緻な分析を行う際に必要な外部情報の購入が、他のデータベース等の購入で金額がかさみ、今年度はできなかったため 今年度における研究では、財務および株式関連数値の精緻化を可及的速やかに行いたいため、外部情報の購入を取り進めている。繰越額および次年度額をあわせた額が購入には必要なため、この購入の実施によりほぼ予定通りの使用計画に戻ると考えられる。
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