研究課題/領域番号 |
25380511
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
赤羽 淳 横浜市立大学, 総合科学部, 准教授 (30636486)
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研究分担者 |
土屋 勉男 桜美林大学, 大学院経営学研究科, 教授 (20514178)
井上 隆一郎 桜美林大学, 大学院経営学研究科, 教授 (70438076)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自動車 / アジア / ローカルサプライヤー / ものづくり / イノベーション |
研究実績の概要 |
本研究は、タイ、中国、日本の地場の自動車部品サプライヤーを比較分析し、その進化経路と能力構築の違いを明らかにした。自動車産業における部品企業の能力評価について、これまで評価枠組みの基盤的存在になってきたのが浅沼萬里の研究である(Asanuma,1989;浅沼,1997)。浅沼の特徴は、製品設計能力に着目し、貸与図から承認図へ向かう図面形態の発展によって、サプライヤーの進化を定式化したことであった。一方で、我々の研究対象であるタイ、中国の地場サプライヤー多くは二次サプライヤーで、賃加工や組立請負に特化するものが多く、浅沼の枠組みで評価するといずれも「貸与図段階にある」という一義的な評価しかできない。しかし我々は、これまでの訪問調査によって、製品設計能力を持たなくとも事業を長年持続させている企業を多数目にしてきた。そこで本研究では、改めて地場サプライヤーの特性も捕捉できる新しい評価枠組みを設定し、タイ、中国、日本の地場二次サプライヤーの能力評価を試みた。 枠組みについては、従来の製品設計能力に加えて、新たに二つの評価軸を導入した。一つ目の評価軸が工程設計能力である。工程設計能力とは、工程の改善や装置の改良、あるいは治具、工具、製造装置や金型の自社設計(カスタマイズ)や自社生産を通じて工程を最適化し、コスト削減と品質向上を目指す能力である。製品設計能力を有しない部品企業でも、この工程設計能力を強化することで生産性の向上をはかり、顧客からの信頼を得ることができる。二つ目は、事業の多様化を図るドメイン設計能力である。分野や顧客の多様化によって、特定の分野や顧客への依存から脱し、事業基盤の安定化をはかることができる。本研究では、浅沼の評価軸(製品設計能力)に、工程設計能力とドメイン設計能力を加えた三軸で、地場二次サプライヤーの評価を行った。
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