研究課題/領域番号 |
25380519
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
鳥取部 真己 北九州市立大学, 大学院マネジメント研究科, 准教授 (80454396)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人的資源管理 / キャリア / 人材育成 / 技術者 |
研究概要 |
平成25年度は、まず「新商品を創出する技術者の能力と育成」にまつわるパイロット研究で実施した質問紙調査結果の統計的な分析に着手した。技術者の能力とキャリアにまつわる先行研究から、技術者の能力とその形成にまつわる7つの仮説を提示した。そして、技術者の能力に関する自己評定結果を因子分析したところ3因子が抽出され、これらの能力因子を、開発マネジメント力、専門技術と新規提案力、製品技術力と名付け、ジョブ・ローテーションや特別な仕事経験(研究業務への従事や海外勤務経験)との関係を重回帰分析によって分析した。その結果、自己の専門分野内でのジョブ・ローテーションは、能力形成におおむね結びつくものの、専門分野をまたぐような異動や、技術部門以外への異動は、能力形成を阻害する可能性があることが示唆された。また、研究業務への従事は、専門技術と新規提案力を形成する一方でそれ以外の能力形成は阻害する可能性、そして海外勤務経験は開発マネジメント力と製品技術力を形成する一方で、専門技術と新規提案力形成を阻害するというトレードオフ的な関係が示唆された。以上の分析をさらに深化させて、平成26年度に学会発表などの成果に結びつけていきたい。 次に、本研究にまつわる文献展望を行うなかで着想した、職場でのリーダーシップと従業員の創造的能力の形成にまつわる予備的調査を企画・実施し、これを研究ノートにまとめた。具体的には、リーダーシップの2次元(P行動、M行動)と、LMX(上司・部下間交換関係)、そして職務業績との関係にまつわる質問紙を作成し、学部学生を対象に調査を行った。その結果、P行動・M行動とLMX、P行動やM行動と職務業績、LMXと職場の雰囲気との間に有意な相関関係がみられた。平成26年度には、この調査・分析を基盤に、創造的能力の発露としての創造的職務成果と職場でのリーダーシップやキャリア形成との関係を調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に対して、能力形成にまつわるリーダーシップの影響を探る視点についての予備的調査を手がけるという前倒し成果があった一方で、計画していたパイロット調査にまつわる研究成果の学会発表や査読誌への論文投稿に着手できなかったため、おおむね順調に進展していると総合的に判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究目的及び計画に照らしてやや遅れている学会発表や査読誌への論文投稿を平成26年度に進めるように留意し、その他については今後も引き続き計画通りに研究を実施してくことを心掛けたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた学会発表などでの出張が次年度以降になったこと、研究協力者との打ち合わせや勉強会への参加は、他の研究費による支出で行われた際に、本研究での要務を一部果たしたものがあること、そして電話ミーティングやe-mailなどの活用で出張を抑制したことにより、次年度使用額が生じた。 当初計画に対してやや遅延している研究成果の学会発表を平成26年度に進めること、そして当初の平成26年度計画内容を計画通りに実施していくことを心掛けたい。
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