研究課題/領域番号 |
25380519
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
鳥取部 真己 北九州市立大学, 大学院マネジメント研究科, 准教授 (80454396)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人的資源管理 / 人材育成 / 創造性 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、X社において実施したアンケート調査結果にまつわる統計的な分析が進展し、技術者の能力形成と20代での仕事経験について理論・実践双方に意義のある結果が得られた。具体的には、専門分野内のジョブ・ローテーションは専門能力形成を促進し、開発プロセス全体を一気通貫する経験は全体感形成を促進し、上司から触発をうけた経験はマネジメント力形成を促進することが分析結果から示された。この分析結果をふまえたキャリアデザインを行うことで、技術者の創造的な能力形成が促進されることが示唆される。この分析結果を学術雑誌に投稿し掲載公開することができた。 この分析結果をさらに発展させて、20代・30代の仕事経験と創造的な能力形成との関係を分析したところ、暫定的な分析結果であるが、20代の仕事経験と30代の仕事経験で異なる効果が生じる仕事経験が明らかになるなど、より複雑な分析結果を得た。また、自己の仕事経験に対する主観的な意味づけの重要性を示唆する分析結果も得た。これらの暫定的な分析結果について、学会発表を行った。今後、この研究成果を発展させて査読誌への投稿を進めていきたい。 リサーチサイトの開拓については、前年に引き続きアプローチした結果、好意的な感触を得た企業が現れた。リサーチサイトの開拓に並行して、新たなアンケート調査に対する理論枠組みを考察し、論文としてまとめた。好感触を得た企業が関心を持つ点を含めて、平成29年度の早い時期にめどを立てていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度やや遅れている進捗状況をふまえ、統計分析とリサーチサイトの開拓を進めて、当初計画が実現するように努めた。統計分析については一定の成果が出て論文として公開するなどの成果が出た。また、リサーチサイトの開拓も、好感触の企業が現れるなど手ごたえがあった。 その一方で、(公財)大学基準協会の経営系専門職大学院認証評価委員に任命されるなど想定外の学外業務が生じたり、大学院生や学部学生への論文指導や学内業務が想定以上に膨らんだことなどもあって、発展的な分析や新規リサーチサイトに対する調査が計画通り進まなかった。以上の状況をふまえ、達成度がやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、学会発表を行った分析結果を発展させて論文としての研究成果にしていきたい。また、好感触のリサーチサイトへのアプローチをすすめて、X社へのアンケート調査にて不十分であった点をふまえた新たなアンケート調査を実施できるように進めたい。これらの進捗を可能な限り同時並行的に進めて、期間内の研究成果を得るようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
既実施のX社から得たアンケート調査結果への分析が難航するなか、本件研究への新規調査のリサーチサイト開拓に予想以上に苦戦し、新規調査の着手が1年以上にわたって遅延したため研究進捗が遅延していた。この状況下で、さらに(公財)大学基準協会の経営系専門職大学院認証評価委員に任命されるなど想定外の学外業務も発生したうえ、学内の教育や事務管理業務も輻輳し、研究進捗の遅れをリカバリーできなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
在首都圏の連携協力者の協力を旅費などを活用して適宜得ながら、昨年度研究成果を公開した分析の発展と、昨年度好感触を得ているリサーチサイトに対する調査提案を早期に行って新規のアンケート調査実施に結びつけるなど、当初予定していた研究成果を得るべく研究を推進していきたい。また、入力などの作業については研究補助者の活用を進めて研究の進捗に努めたい。
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