研究課題/領域番号 |
25380527
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
柳町 功 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (60230273)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 韓国 / 財閥 / オーナー経営者 / 専門経営者 / 経営構造 / コーポレートガバナンス / 国際経営 |
研究実績の概要 |
研究2年目となる平成26(2014)年度は、韓国・延世大学経営学部に客員教授として滞在し、現地実態調査を主とする研究活動を実施した。 1 現地での資料・文献収集の実施。大学図書館や国会図書館、企業図書館・資料室などを利用し、インターネットではアクセスできない資料・文献類を収集した。過去の新聞や雑誌記事、政府関連機関の調査報告書や企業内部資料など多岐に及んだ。 2 インタビュー・討論の実施。主に研究者(大学、公的シンクタンク、企業・財界シンクタンクなど)との討論、企業関係者(役員クラス)へのインタビューや意見交換は、文字になっていない資料・情報の収集として貴重な場であった。さらに専門の取材活動を行うマスコミ関係者との定期的な意見交換会なども非常に有益であった。 3 学会・研究会報告、特別講義・講演の実施。研究の進展に合わせて現地、あるいは日本にて数多く実施した。韓国財閥企業の歴史や実態のみならず、日本企業との経営比較、企業の視点からの日韓関係など、多様な視点からの報告・講演などを実施した。 4 原稿執筆の実施。(1)「財閥と経済構造」(石坂浩一・福島みのり編著『現代韓国を知るための60章』明石書店、2014年、所収)では、韓国に知的関心を持つ大学生・一般読者向けの内容で、現在の韓国財閥を巡る問題点を整理した。(2)「韓国財閥の競争力強化と「日本」要素 ―三星の事例を中心に―」(『日韓関係の検証と未来構想(仮題)』、2015年予定)は日韓国交正常化50周年記念の国際学術会議(2015年6月予定)のためのもので、特に財閥総帥に焦点を当てて企業競争力の本質を歴史的視点から議論した。(3)『財閥をとりまく韓国社会』では、前年度から実施してきた研究活動のまとめとしての著作物(単著)刊行の作業を行った。刊行は2015年度を予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年計画の研究で2年目となる平成26(2014)年度は、2015年4月からの1年間、韓国・延世大学経営学部に客員教授として滞在し、多角的な現地実態調査を実施した。1年間という長期滞在の時間を活用し、各種の文献や資料など、文字になっている情報については一定の収集が出来た。資料によってはデータベース化されておらず、時間と労力を必要とする状況は以前と変化はなかった。また何よりも、当該企業であっても体系的な資料整理・保存を行っているところが極めて少なく、企業内部資料として活用できるものが意外に少ない状況が確認できた。 したがって文字情報が少ない部分を補う意味でも、インタビューの重要性はますます高まった。インタビューを複数回繰り返し、口述記録を整理する際には事実関係を何度も確認し、複数の証言を得ることで客観性をより高いものとできるよう努力した。結果的にこうした地道な作業を通し、より深い内容を把握することができた。また実態調査の進展に伴いインタビュー対象者の範囲は自然と広がり、より多角的な状況理解につなげることができた。 なお一連の実態調査やインタビュー活動の成果として、学会や研究会での発表、また講演や特別授業などを通して広く発信した。本年度が2年目という位置づけのため、あくまでも途中経過としての成果発表にとどまったが、さまざまなコメントを受け、さらなる研究の進展のための課題などが明らかになった。特に企業・財界関係者や政府関係者から得たコメントなどは、当時の状況を知る当事者からのコメントとして大変有益なものが多かった。また客員教授として所属した延世大学経営学部での各種研究セミナー、主たる研究活動拠点となった韓国経営史学会や韓国CEO学会など学界でのフォーマル、およびインフォーマルな発表や研究交流を通し、現地研究者との充実した討論に参加することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27(2015)年度は本研究の最終年度(3年目)となる。過去2年間の研究活動を踏まえ、また不足分は長期の夏休みなどを利用して現地実態調査を引き続き実施する。調査のみならずその成果発表にも一層力を入れる。特に本年度=2015年度は日韓国交正常化50周年の年であり、本研究の成果の一部をその記念学術行事(6月)にて発表し、日本語・韓国語の2か国語での出版物となって刊行される予定である。個人的にも過去2年間の研究活動の主たる成果として、昨年度から始まっている単著の執筆作業を引き続き進める。今年度前半までを目途に出版完了を達成する予定である。 また今までの研究活動に基づき、韓国財閥研究をさらに深めていくことを目的に、来年度からの新たな科研費研究への応募準備を開始する。個人研究として進める部分と、同様な分野を研究する韓国人研究者・日本人研究者とチームを構成し、国際共同研究としても研究を進めていく予定である。特に財閥の強固な意思決定構造の核心的要素であるオーナー経営者とその周辺に位置する専門経営者について、また最高経営者による支配権の継承について、歴史的視点からの日韓比較研究を実施していく予定である。 韓国トップ財閥である三星(サムスン)グループを当面の主たる研究対象とするが、必要に応じて現代自動車グループ、LGグループ、SKグループなども考察の対象に加え、さらにロッテグループ・斗山グループといった長い歴史を持つ財閥についての研究も今年度から具体的に開始していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26(2014)年度については、主に物品費においての未使用分が発生した。1年間の韓国滞在中、現地での物品費購入が比較的少なかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27(2015)年度は再び研究活動のための拠点を日本にする。研究に直接かかわる物品類(コンピュータ、および附属品など、書籍・資料類など)の購入を予定している。さらに調査や学会発表を目的に韓国への出張をしばしば予定している。
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