研究3年目は、今までの2年間の研究同様、韓国における実態調査、学会・研究会発表、原稿執筆などを行った。 1.現地での資料・文献収集の実施。大学図書館、国会図書館、企業図書館などを利用し、インターネットではアクセスできない資料・文献類を収集した。古い時代の雑誌記事、新聞記事、公的機関の報告書、企業の内部報告書・資料など、収集範囲は多岐に及んだ。 2.インタビュー・討論の実施。サムスングループ、ロッテグループ、斗山グループなどの企業関係者(主に財閥企業の本社役員クラス以上の人物)などとの定期的なインタビュー調査は企業の内部情報をヒアリングするうえでの重要な機会となった。同分野を研究する大学研究者、経済・政治担当のマスコミ報道関係者との定期的な会合を続け、外部の視点からの分析との融合を図った。 3.学会・研究会での報告、特別講義や講演などの実施。韓国財閥企業に対する内容を中心に、その歴史研究、さらに日本企業との経営比較など、多様な視点からの考察結果を幅広く発信した。韓国経営史学会および同学会内の企業史研究会、2014年度に客員教授として滞在した延世大学経営研究所での共同研究の実施、延世大学校およびその他大学での特別講義などを実施した。 4.原稿執筆。前年度からの引き続き進めてきた『日韓関係史 1965-2015』(Ⅱ経済)の分担執筆は日本語版(東京大学出版会)と韓国語版(歴史空間)の両方から出版となり、日韓国交正常化50周年記念学術事業としての活動に積極的に参加することが出来た。その他前年度から持ち越しとなっている2つの出版企画については、さらにその具体的進展を図ったものの、最終成果物の刊行は平成28年度へとなる予定である。
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