最終年度である27年度は、第一の課題「イノベーション・プロセスの段階の推移、すなわち流動期、成長期から成熟期に至る段階において、どのような戦略が有効であったかという点について定量的に分析する」ことと、第二の課題「イノベーションの各段階で有効であった戦略は、いかに企業間競争に影響を与えたかという点について、『証券会社間の入出庫』という顧客移動に関するパフォーマンスデータ用いて、定量的・経時的に分析する」を有機的に結合させるべく議論を行い、分析の精度を高めていきながら、報告を行っていく期間とした。 具体的には、25年度ならびに26年度の分析結果を基として、それらの有機的な相関を分析しながら精度を上げるとともに、オンライン証券業界の担当者や研究会等でのディスカッションを重ねていくことで、実務的・学術的な意義を検証していった。 ここで得られた成果として、「ネットビジネスのイノベーション・プロセスと企業間競争」(『日本経営学会誌』投稿中)、「模倣・追随の二面性:日本のオンライン証券市場黎明期における企業間競争の実証的分析」(『組織科学』投稿中)としてまとめられた。両者とも、査読修正中であり、残念ながら本研究期間には出版に至らなかったものの、研究の成果が十分に発揮されるものとしてまとめられた。
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