研究課題/領域番号 |
25380535
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
額田 春華 日本女子大学, 家政学部, 講師 (60580719)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ダイバシティ・マネジメント / 人材育成 / 組織変革 / 中小製造業 |
研究実績の概要 |
本研究では、中規模製造業企業における多様な人材の育成と活用に関する調査研究を、特に女性人材の育成と活用の面からおこなう。 平成26年度は、富山県内製造業企業の中から地場中堅企業と中小企業10社を対象に、各社の女性活用に関わる管理職の方1~2名への半構造的インタビュー調査と、これらの企業の中から女性社員32名への半構造的インタビュー調査を実施した。業種は化学2社、金属製品2社、非鉄金属1社、電子部品1社、生産用機械1社、プラスチック製品1社、食品1社、繊維1社にまたがる。 富山県では、女性の高い正社員比率とM字カーブの浅さを早くから実現しており、また県の多くの関係者を巻き込んでWLB施策だけでなく男女均等施策をも10年以上にわたって積極的に推進してきたのにも関わらず、女性の管理職比率がなかなか上昇してこなかった。中小企業でも女性活用の必要性が唱えられるようになったが、女性活用の先進県での課題の実態を深く調査することで、女性人材の育成と活用に関する課題を明らかにしたいと考えている。 この調査の中間報告を平成26年9月の日本中小企業学会の全国大会で「富山県中堅・中規模製造業企業における多様な人材活用のマネジメント:女性活用に着目して」という内容で報告した。富山県中堅・中規模製造業企業でダイバシティ・マネジメントを女性の面から進める組織変革のプロセスで観察される矛盾や課題を考察したが、学会発表を受けて頂戴したコメントを受けて、女性人材のキャリア・パスのパターン別に事例を整理しなおす必要性や男性優位の組織文化の変革を議論に組み込む必要性に気づき、それらを整理するステップを踏んだ上で組織変革プロセスを論じる中間報告書を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度内に中間報告書をまとめ終わる予定であったが、春休みに必要な時間を確保できず残っている。6月中旬までに中間報告書をまとめ終わり、それを踏まえ、仮説を鍛えていくための現地調査に活かしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年2月に富山県経営者協会主催の県内企業の経営幹部向けの講演会で調査の中間報告を講演させていただき、本研究の仮説に大きな関心をお寄せいただいた。現在、調査サンプルが中堅・中規模の企業に偏っているが、100人以下の規模層の企業様にもインタビューへのご協力をいただけることになった。平成27年度は、100人以下の規模層を含む追加10社ほどへのインタビューを含めながらインタビューを継続し、研究報告書をまとめていきたい。 中小製造業の現場で女性活用を本格的に進めていくためには、WLB施策、男女均等施策の視点だけでは限界があり、①分業と調整のパターンのあり方の転換、②女性の能力育成パターンの転換、③時間あたり生産性を高める仕事のやり方への転換といった、仕事そのものに関わる組織変革も併せて進めていく必要があるという仮説を考えている。 最終年である平成27年度は富山県を中心に、そこでの観察を他の地域の事例と位置づけながら考察を進めるために関東近県の事例も同時に観察しながら、研究をまとめていきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
中間報告書の作成が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度分として中間報告書の印刷・配布費用を計上する。
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