研究課題/領域番号 |
25380538
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
田路 則子 法政大学, 経営学部, 教授 (00322587)
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研究分担者 |
新谷 優 法政大学, グローバル教養学部, 准教授 (20511281)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ノービス起業家 / シリアル起業家 / 事業機会認識 / WEBビジネス |
研究概要 |
2012年3月~11月にかけて、首都圏およびシリコンバレーででインターネットやモバイル関連のWEBビジネスを業とするスタートアップを経営している起業家を対象に定量調査を実施した。日米間で、機会認識と起業意欲のどちらが先になる傾向があるかを、カイ二乗検定で確認したところ、日米の差を10%水準で確認できた。米国のほうが日本よりも、機会認識をしてから起業する傾向があることになる。逆に、日本の起業家は、起業意欲を出発点として起業プロセスを始めるケースが米国よりも多いことになる。また、日本の結果は、シリアルのほうがノービスよりも機会認識を先に意識することが5%水準で確認された。一方、米国の結果は、シリアルとノービスに差はなかった。つまり、米国では、最初の起業であっても、二度目の起業であっても、起業プロセスに差異がなく、日本では、二度目の起業になると、機会発見に尽力する傾向が見られる。シリアル起業家は、過去の経験を踏まえて、機会認識の探索をするのであろう。事業機会の認識は起業プロセスの出発点であり、経験の無いノービス起業家が明確な機会認識がないままに起業するのは大きな問題であろう。 サンプルの特性は、平均年齢は、どちらも30代半ばと差がない。学歴に関しては、米国の起業家は、大学院卒者が50%を占めているが、日本の起業家は、大学院卒者は21%にすぎない。さらに大きな違いは、理工系専攻の割合だろう。大学において理工系学部を専攻した比率は、米国の80%に対して、日本では30%と少ない。たまたま、日本のサンプルはCEOを担う創業者が多く、相方のCTO(最高技術責任者)が少なかったのではない。ひとり創業者の比率が33%を占め、創業チームにCTOが存在したのは9%にすぎないことを考えると、創業者に理工系人材が3分の1しかいないことは、全体像を反映しているといえよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定量調査の分析は日米比較を終えた。また、日本の定性調査も進めており、起業の先進的地域であるシリコンバレーに比べて、東京の起業環境の乏しさがどのように起業家活動に影響しているのか考察するデータは揃いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
定量だけではなく、定性的研究によって、ノービス起業家の経営能力の獲得と戦略構築を明らかにする。2013年度に実施したインタビューからケースの作成を行う。8年で株式公開を果たしたエニグモ(購買依頼サイト)の成長プロセスを分析している。同社は2004年に博報堂を退社したふたりのCEO(ノービス起業家)によって設立された。
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