研究実績の概要 |
最終年度である27年度の研究実績の概要は次のとおりである。 第1には、最終年度にもGEMの調査を実施したことである。本研究期間の3年間において、わが国の分析対象サンプルを合計6,000件増やすことができた。わが国の場合、起業活動に従事している割合が5%以下なので、起業活動者の分析をするためには、サンプル数の拡大は必須の課題であり、この点について大きく進展した。27年度終了時点の総サンプル数は1万5,654件となり、そのうち4割は、本研究期間で蓄積した。 第2には、本研究の主要テーマである起業「態度」と起業「活動」の関係は、国ごとの比較においては、本研究が始まる前に確認できていたが、本研究期間において、サンプル数が増える中で、国内の地域ごとの分析を行うことが可能になり、国同士の関係が国内の地域同士にも当てはまることが確認できた。 第3には、これは最終年度における大きな成果の一つになるが、起業態度に影響を及ぼす要因について、本研究費を活用した調査を行うことで、分析することができた。つまり、昨年度までに、起業活動の地域間格差は、起業態度の地域間格差が大きな要因であると結論づけた。しかし、そうであるならば、その起業態度の違いはどのような要因によって生じるかを明らかにする必要があり、これは本研究の母体となっているGEM調査でも分析対象としていない。そこで、最終年度に、3,000件のWEB調査をGEM調査とは別に実施し、起業態度に影響を与える要因を調査した。その結果、当初仮説とは異なる結果(企業の規模や知名度を重視し、安心して働ける場を持っていること)や当初仮説通りの結果(転職の経験があることなど)が明らかになった。 第4には、日本の地域で見た場合、北関東と中国四国が起業活動や起業態度において不活発であり、首都圏、近畿、そして九州・沖縄が活発であるという結論を導くことができた。
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