研究課題/領域番号 |
25380540
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
風間 信隆 明治大学, 商学部, 教授 (60130803)
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研究分担者 |
H・R Bungsche 関西学院大学, 国際学部, 教授 (10434903)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | コーポレート・ガバナンス / グループ・ガバナンス / マルチ・ブランド戦略 / モジュール戦略 / トップダウンの競争力 / 共同決定 |
研究概要 |
本研究は,VWグループの競争力を規定するコーポレート・ガバナンス(とくにグループ・ガバナンス)の実態の解明を目指している。とくにVWグループ・グループ内でのガバナンスがVWの競争力を生み出しているとの仮説に基づいて実態調査を行うことが主たる狙いとなっている。 今年度においては,主としてVWグループの中国拠点(とくに長春の一汽VW)での調査とドイツ国内でのVW本社とAudi(Ingolstadt)本社の調査を行った。その結果,特に前者の2つの中国拠点(FAWと上海VW)におけるドイツ側トップ・マネジメントが一体化(ドイツ本社)しており,VWの中国事業はVW主導の下で統合的に展開されていることが明らかになった。後者では,VWとAudiの関係についてますますAudiがVWグループ内で大きな影響力を発揮していることが明らかとなった。 またVW自体のコーポレート・ガバナンスではピエヒ家とポルシェ家が普通株の過半数を握る存在となり,ファミリーの大きな影響力を認めつつも,依然としてニーダーザクセン州が重要事項に対する拒否権行使を持っていること,またドイツ金属労組(IG Metall)が人事・労務担当執行役の推薦権を有するなど共同決定の下で大きな影響力を有しており,VWグループ経営者は多様な利害関係者の諸利害の均衡を図る中でコーポレート・ガバナンスを実践していることが明らかとなった。 以上の成果は学会報告および論文で公表に努めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)研究代表者及び研究分担者ともに2013年度において学会発表と論文等で本年度の調査の成果の公表に努めてきた。 2)VWグループのガバナンスの実態についてこれまでわが国では十分解明されてこなかった点を解明できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後,VWグループ全体のガバナンスを解明する上で,次年度以降の調査対象とされるロシア・東欧諸国,ブラジル,メキシコ,インドの事業拠点での調査が必要不可欠である。グループ企業(海外子会社)へのインタビュー調査の認可がVW本社から得られておらず,グループ企業のガバナンス,特に経営者へのインタビューを行うことができていない。しかし,研究分担者であるブングシェ教授の持つ人脈を駆使して目下,グループ企業の担当者もしくはそうした企業とすでにコンタクトを持っている研究者の人脈を通じて調査を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ドイツ調査が2014年3月に実施された結果,ドイツ調査で使用した金額が翌年度に計上されることになったことが主たる理由である。 従って,すでに当該年度の交付支出決定額の大部分は支出済みである。
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