研究課題/領域番号 |
25380540
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
風間 信隆 明治大学, 商学部, 専任教授 (60130803)
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研究分担者 |
H・R Bungsche 関西学院大学, 国際学部, 教授 (10434903)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インサイダー型企業統治 / ドイツ・モデル / 会社の利益 / ディーゼル排ガス不正 / 労使共同決定 / ファミリー支配 / 資本市場の圧力の遮断 / 新VW法 |
研究実績の概要 |
本研究は,すでに平成26年度に終了しているべきはずであるが,2015年9月に発覚したVW社のディーゼル不正の影響を調査する必要との判断の下で,延長申請を行い,受理された結果,平成27年度においても引き続き,研究を継続することを認められた。そこで特に平成27年度において11月にドイツ調査を行い,VW本社等でのインタビュー調査を行うことができた。その結果,VWグループのディーゼル不正の背景として,1.量的拡大(2017年までに1千万台の販売達成)重視戦略を追い求めていく過程で,これまでVWがシェアを拡大できなかった北米市場でエコーディーゼル車の投入により競合との差別化を図ろうとしたが,ディーゼル・エンジン固有の問題(CO2・燃費とNOxとの両立不能)を隠ぺいしようとする誘惑が生まれたこと,2.VWのコーポレート・ガバナンスの特徴として,ファミリー,州政府等の大株主主体の株式所有構造の下で外部の監視メカニズムが作動せず,インサイダー重視のコーポレート・ガバナンス構造が閉鎖的体質を生み出したこと,3.VW社の監査役会にはIGメタル,従業員代表も加わっていながら,労働側のパワー関係が変化し,従業員側の影響力があまりに高まる結果,「会社中心主義」思考に陥ったこと,4.VWはもともと国有企業であり,その官僚制的体質はよく知られており,トップ・ダウンの体質が現場からで声を上げるボトム・アップのコミュケーションを阻んできたことを明らかにすることができた。
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