VWは,ドイツ最大の自動車メーカーであり,ドイツを代表する企業であり,そこで展開されている企業統治(corporate governance)は労使共同決定,ファミリー支配,インサイダー型統治構造を有している。これは全ての関係者が「会社の繁栄」上位目的として利害調整を図る仕組みである。しかし,同時にこの企業統治は内向きの閉鎖的体質を生み出しかねない負の作用を有している。こうした企業統治構造は所与の目標に対して全員がまとまって行動する大きな成長エネルギを生み出す一方,会社中心主義に陥るリスクを高める。これがVWの躍進を生み出す一方,ディーゼル・スキャンダルの背景となっている。
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