本研究は組織の進化プロセスを説明するために実践としての戦略論(S-as-P)の見方を適用することを試みている。S-as-Pは種々の実践家による裁量的なプラクシスと慣行化したプラクティスとの間の相互循環過程を戦略化と呼び、この過程を経時的な社会現象として解明しようとする。戦略化は一連の戦略エピソード(組織ルーティンを一時的に停止し、反省的にプラクシスを発揮する機会)として観察されうる。結論的には、戦略エピソードとしての相互循環の軌跡には、良循環と悪循環があることが見いだされた。どちらの循環が現れるかを説明する鍵は取引ガバナンスのメカニズムとネットワーク外部性にあるのではないかと考えられる。
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