研究課題/領域番号 |
25380550
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
李 在鎬 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 教授 (40342133)
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研究分担者 |
呉 在恒 明治大学, 国際日本学部, 准教授 (20396823)
崔 裕眞 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 准教授 (20589725)
富山 栄子 事業創造大学院大学, 事業創造研究科, 教授 (40449426)
塩地 洋 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60215944)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 日本 / 韓国 / 中国 / ロシア / 育成型 / 提携型 / サプライ・チェーン・マネジメント |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究実施計画は、第一に日韓の主要メーカーの2次データの分析、第二に、中国、ロシアでの日韓自動車のグローバル物流の実地調査、第三に日韓の主要SCM と完成車販売ネットワークの分析とその成果の発表であった。 第一の研究計画に対して、代表者は日本の200主要自動車部品のサプライヤーの取引ネットワークのデータを整理し、Ucinetというソフトウェアを用いて部品別、年度別に一定程度可視化する方法論を開発しており、成果報告などで活用している。ただし、韓国における2次データーの分析は必ずしも十分とは言えず、最終年度の課題にしたい。 第二の研究計画に対しては、李・塩地か中国調査を、富山がロシア調査を行い一定の成果を得た。特に富山は、「本国自動車メーカーが進出している海外の市況に不確実性が認められる場合であっても、韓国の方が日本より、サプライヤーがメーカーと同伴進出する傾向が強いのはなぜか」という問いかけに対し、産業政策やメーカーとサプライヤーとの関係性、市場の規模のような構造的要因と、企業家精神という行動論的要因を導出し説明している。一方で、李・塩地は実地調査により、北京現代に燃料タンクを供給するIngergyというフランス系部品メーカーが韓国系東煕産業にとって変わって、主力サプライヤーになっていたことを明らかにすることによって、富山主張に新たな知見を加えている。 第三の研究課題に対しては、国内外において活発な成果報告があった。李・塩地・富山・崔は平成26年6月に京都大学で開催されたGERPISAでそれぞれ関連分野について国際発表を行った。 その他に国内学会発表においても大きな成果があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、当初掲げていた平成26年度の3点の重点研究計画に整合する形で着実に研究を遂行してきており、いずれの調査研究も新奇性、及び独自性に富むものであり、質量ともに学問的な意義の大きいものである。 ただし、比較実証研究での均衡において、2次データが整備されている日本研究が高い進捗度を示すのに対して、韓国調査が多少遅れている。 第二に、海外実地調査など研究遂行とともに、国内外で豊富な研究成果発表を実施してきた。 以上の点から、当該年度の研究目的の達成度は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、日韓の自動車メーカーや部品メーカーがグローバル市場競争時代に突入し、いわば育成型の特徴が色濃かった日本のサプライ・チェーン・マネジメントと「同伴進出」で特徴づけられる連携型の傾向が強い韓国のサプライ・チェーン・マネジメントというステレオタイプの仮説が見直されていることをうけ、収斂化、折衷型、あるいは交渉型などの可能性も視野に入れ、より多面的に捉えていく必要がある。 次に、サプライヤーを主体とする成長戦略を動態的に示せる独創的な分析フレームワークを開発し、この分析枠組みを通して調査結果を学問的に位置づけていきたい。 また、韓国調査をさらに強化し、様々な観点から日韓比較ができるように進めていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
全体的には計画的な執行が行われたが、分担金の執行がなされていない分担者がいる。分担者の研究状況の確認などが必ずしも万全ではなく、分担者間の調整を強化し、計画的執行を確保していく。
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次年度使用額の使用計画 |
代表者の場合は、海外調査のため、繰り越し額を執行する計画である。 大幅な分担金の繰り越し額が発生した分担者については、今後分担者間の連絡と調整を通じて、計画的な執行を促していく。
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