研究課題/領域番号 |
25380564
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
三古 展弘 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00403220)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 消費者行動 / 交通行動 / 交通手段選択 / 需要予測 / 国内総生産 / 調査 |
研究実績の概要 |
複数時点のデータが利用可能である場合,新しい時点のデータを用いるほうが良い需要予測を行えることが知られている.このことを実証した研究は多くあるが,それらの研究では各時点において同程度のサンプル数があることを仮定している.しかし,この前提の成り立たないことも多い. 本年度,主に分析したのは,データの新しさとサンプル数のトレードオフである.これは実務的には次の問いに答えるものである.(1)手元に古い時点の多数のサンプルと新しい時点の少数のサンプルがある場合,どちらのデータを用いて需要予測をするのが良いか.(2)手元にあるデータは古いので新しく調査を行う場合,新しい調査のサンプル数をいくらにすれば,古いデータを使う場合よりも良い需要予測を行えるか. 分析は,中京都市圏の出勤交通手段選択行動を対象に行った.データ収集時点(1971,1981,1991年の3時点)とサンプル数(50~10000サンプルの範囲の33通り)の99の組み合わせについて検討した.また,99の組み合わせのそれぞれについて200回無作為抽出し,99*200=19800のモデルを構築し,それらを用いて2001年の行動を予測した. 得られた知見は次の通り.(1)サンプル数が同じなら,新しいデータを用いるほうが予測精度が平均して高く安定している.(2)データ収集時点が同じなら,サンプル数が多いほど予測精度が平均して高く安定している.(3)新しい時点の少数のサンプルによるモデルのほうが古い時点の多数のサンプルによるモデルよりも統計的に有意に良い予測を行える場合がある.例えば,1971年のサンプル数が700から10000サンプルの範囲にあるとき(この範囲でならサンプル数がいくらであっても),1981年の400サンプルのモデル,1991年の250サンプルのモデルのほうが有意に予測精度が高いことなどが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り,予測に必要なサンプル数と調査時点数の観点から分析を行った.
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今後の研究の推進方策 |
当初予想していたよりも,調査費用の削減の観点から様々な分析ができることが分かったので,平成26年度は多くの時間を計算などの分析作業に費やした.本年度はそれを論文としてまとめることに力を注ぎたい.別の地域のデータを用いた分析も予定していたが,それを取りやめても,調査費用の観点からの分析に力を入れたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
海外への研究打ち合わせを予定していたが,E-mailや国際会議出席時のコミュニケーションにより,打ち合わせのためだけの出張が必要なくなったため,当該助成金が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
発生した当該助成金は英文校閲費に充てることを予定している.
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