研究課題/領域番号 |
25380569
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
岡野 雅雄 文教大学, 情報学部, 教授 (40224042)
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研究分担者 |
浅川 雅美 文教大学, 栄養学部, 教授(Professor) (80279736)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Web広告 / 情報的価値 / アイトラッキング / 広告に対する態度 / 食品選択基準 |
研究概要 |
広告効果を高くするためには、視聴者の広告に対する態度(Attitude toward the advertisement ; 以下、「Aad」と略記する)を好意的にし、購買意欲を促進することが重要である。本研究では、広告Webサイトを対象に、広告の「伝達内容」と「Aad」との間の関係をより明らかにするために、次の二つの目的を設定し、これらについて、アイカメラを用いた実験および質問紙調査によって明らかにすることを目的としている。 第一の目的:「情報的価値が高いケースは、低いケースと比べて広告に注目しており、情報獲得量も多い」という仮説を検証する。 第二の目的:情報的価値が高いケースは低いケースの被調査者と比べて、広告のどの部分をよく見て、どのような「視聴印象」を感じて、「Aad」の評価が高くなるのかを明らかにする。 本年度は、2014年度本実験を実施するために、実験刺激の選定、先行研究のレビューおよび被調査者の選定を進めた。本研究では、被調査者の食品選択基準にしたがって被調査者集団を選定する必要があるため、大学生の被調査者を対象に「食品選択基準」に関する質問紙調査を行った。具体的には、Asakawa & Okano(2009)でSteptoe et al.(1995)の「食品選択基準」測定尺度(36項目)を因子分析した際、各次元に因子負荷量が高かった2項目(計10項目)を4段階で評価してもらう調査票に回答してもらった。そして、「食品選択基準」5次元それぞれについて重視する者・重視しない者を含むように被調査者集団を選定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究のレビューも順調に進んでおり、アイトラッキングの解析も定期的に試行しており、2014年度の本実験実施およびアイトラッキングデータの解析の準備は整っている。
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今後の研究の推進方策 |
予備調査で選定した被調査者に、アイカメラ付きモニターで「安全性」「ムード」「簡便性」「ダイエット」「価格」をそれぞれ訴求している食品Webサイトを2本ずつ、計10本を閲覧してもらう。そして、各Webサイトについて、①「全体の注視時間」、②注視点の数、③ブランド名、商品のベネフィットに関する説明、その他(例えば、タレント、舞台背景など表現形式)の3つの「注視時間」を調べる。 さらに、「視聴印象」、対象Webサイトに対する好き・嫌い(好感度)、購買意欲をそれぞれ7段階評定する質問紙調査を行う。なお、Webサイトの「視聴印象」の測定には、浅川・岡野(2011,2013)の結果をもとにして作成した測定尺度を用いる。 解析の方針は以下のとおりである: ①全体の「注視時間」、注視点の数について2群(各選択基準の重視群と非重視群)でt検定を行う。 ②対象広告の注視範囲をブランド名、商品のベネフィットに関する説明(文字スーパー)、その他の3つに分類してそれぞれの注視時間について2群でt検定を行う。 ③閲覧後に行った質問紙調査の各項目(対象Webサイトに対する「視聴印象」、好感度、購買意欲)について、2群でt検定を行う。 ④対象Webサイトの注視範囲をブランド名、商品のベネフィットに関する説明、その他の3つに分類する。そして、それぞれの注視時間と「視聴印象」、好感度との関連について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
アイトラッキング実験を、1年目から2年目にした。 アイカメラはリースを行うが、本実験の時期のずれにともない、そのリース代金が2年目にずれることになった。 次年度使用額となった分は、アイカメラのリース代金として用いる。 1人の被調査者に対して、10本のWebサイトを自由に閲覧してもらう実験を行うが、実験の説明やキャリブレーションの時間(10分)、Webサイトの評価時間(10分×10本=100分)および5本閲覧した後の休憩時間(10分)を合計すると、1人につき所要時間は計120分(2時間)となる。1日に実験に協力してもらえる人数は2~3人である。また、大学の休日には被調査者の協力を得にくいことおよび、申請者らが公務(授業、会議など)の時は実験を行えないことを考えると、3か月間はリースしたい。それには、約135万円の費用がかかる見込みである。
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