最終年度であるため、今までの研究成果を学会報告や書籍等を通じて広く公表していくことを心がけた。 ポーランドで開催されたAPRIA(Asia-Pacific Risk and Insurance Association)の2017年度年次大会において、“The Proliferation of Genetic Testing and the Rise of New Issues in Underwriting” というテーマについて単独報告を行った。近年、遺伝子検査や医療技術の発展により多くの利点が生まれる一方で、情報やプライバシーをめぐる社会問題など負の側面もますます無視できないようになっている。APRIAの学会報告でとりあげた保険・共済における遺伝子差別の問題も、そのような負の側面の一つである。保険・共済におけるアンダーライティング実務は、社会保障制度や法律、国民性、文化などの様々な要因により、国・地域間に相違がみられるため、単なる比較検討は難しい。しかし、国際学会において問題提起し、いろいろな国の研究者等とアンダーライティングのあり方に関して意見交換したことで、有益な学問上のヒントを得ることができたと思う。また、保険と似て非なるものとされる共済と保険との相違についても、研究を進めている。様々な視点や問題意識から、保険と共済の相違を考えることができるが、特にアンダーライティングと働き方に焦点を当てて、書籍『格差社会への対抗 新・協同組合論』の担当章にまとめた。
|