研究課題/領域番号 |
25380577
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
松下 光司 中央大学, その他の研究科, 教授 (40329008)
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研究分担者 |
土橋 治子 青山学院大学, 経営学部, 教授 (90333236)
齊藤 嘉一 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (50328671)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | サービスの失敗 / 苦情 / 顧客満足 / 文化的自己観 |
研究実績の概要 |
平成25年度は、研究設定と理論枠組みを明確化した。文化的相違がより顕著に現れる場面として、他の顧客が存在するサービス消費(例えば、レストランの隣のテーブルに他の顧客が居合わせた場面)に注目し、そのような顧客の反応についてのモデルを考え出した。そのモデルは、端的に言って、相互協調的自己観を持つアジア顧客の方が、他者の顧客反応に同化していくというものであった。
平成26年度においては、この成果にもとづき、国際比較を目指した実証分析をスタートさせる予定であった。しかし、本研究と同じ研究グループによる他の国際比較実験の結果から興味深い事実が見つかったことから、理論モデルの変更を迫られることになった。その事実とは、協調的自己観を持つ日本人のみならず、独立的自己観を持つ米国人顧客であっても、その反応パターンは違うものの、他者の顧客に反応に同化する可能性があるというものであった。そこで、モデルを立て直し、自己観によるサービス反応の有無ではなく、自己観によるサービス反応の差異を説明するモデルを構築することに時間を費やすこととなった。そして、文化心理学の知見を参照しながら、その手がかりを得ることができた。
サービス失敗という場面における他者の情報処理が、日本人(相互協調的自己)の顧客のみならず、米国人(独立的自己)の顧客にまで及ぼす効果を明らかにすることができれば、より一般的な情報処理を特定化することに繋がるため、より大きな意義を持つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、新しい実証研究の知見を取り入れることで、サービス消費場面における苦情反応を説明する理論モデルの再考を迫られた。そのため、理論的背景の特定化に時間がかかってしまった。ただし、本研究の大きな特徴である、「苦情反応の心理プロセスを組み込んだモデルを構築する」にはアプローチできている。また、実証分析を行う際の基礎的な変数(文化的自己観の測定項目の英語バージョンと日本語バージョン)についての準備は進められた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまで特定化された理論的背景とテストするための国際比較実験に取り組むことになる。予算の都合から実験数などは縮小せざるを得ないが、日米比較実験を中心に取り組んでいくことになる。これまでの計画通り、実験デザインから、データ収集と分析、学会発表準備へと歩を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は理論的背景を再検討することに時間を費やしてしまった。そのため、実証分析にまでは到達することができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
計画は遅れてしまっているが、計画の基本的な流れは変わっていない。最終年度は日米比較実験による実証分析のために費用を用いていく予定である。
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