本研究の目的は、サービスの失敗に対する顧客の苦情発生の文化的差異を「文化的自己観」(協調的自己、独立的自己)を規定因としながら、実証的に明らかにすることであった。われわれは、同時に、グループ・メンバーとの関係性の質も、苦情発生に対して強く影響を及ぼす要因となる可能性を想定した。実験から得られた主な発見物は、次のとおりである。(1)文化的要因よりも関係性要因が、グループのメンバーが被るサービスの失敗に対する苦情行動を説明する重要な要因となること、(2)他者の存在が苦情発生を増幅する要因として働くこと、(3)、友人との関係を維持するために苦情反応を利用している可能性を示したこと。
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