研究課題/領域番号 |
25380578
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
渡部 和雄 東京都市大学, 工学部, 教授 (90244532)
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研究分担者 |
岩崎 邦彦 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (40315213)
梅原 英一 東京都市大学, メディア情報学部, 教授 (00645426)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 電子マネー / 消費者調査 / 普及戦略 / モデル化 |
研究実績の概要 |
1.平成26年度は4月に関東地方に居住する20代から60代の男女1,000人に,電子マネーの利用状況,電子マネーに対する意識,居住地周辺の交通利便性や買い物利便性などの利用環境,インターネットを利用した情報収集頻度などについて,質問紙調査を行った.その結果を分析し,電子マネー利用モデルを作成した.分析の結果,地域の交通環境が良好なほど人々は交通系電子マネーを利用することが明らかになった.また,地域の買い物環境が良好で,さらに人々が買い物利便性を高く評価しているほど,流通系電子マネーを利用することが判明した.さらに,人々が電子マネーに対して不安を抱いたり,必要としないと考えるほど,交通系電子マネーも流通系電子マネーも利用されない方向に作用することが判明した. 2.佐久っ子WAONカード(流通系電子マネー)を調査した.実際に佐久っ子WAONカードの主体となっている商店街の調査,商店街理事へのヒアリングを行った.地域住民の多くはイオンで電子マネーWAONを利用して買い物するようで,あまり商店街には足が向かないようだった. 3.佐久っ子WAONのエージェント・シミュレーションを作成した.その結果,次のことがわかった. (1)現在の初期ポイント率では、値下げ効果が低く顧客をイオンから呼び寄せる効果はない.もっと、ポイント付与率を上げる必要がある.(2)ポイント利用の上限を設けるべきである.貯めたポイントを一度に使ってしまうと、それ以降は、消費者が値下げ効果で商店街に行くインセンティブがない.(3)同様に,最初に初期ポイントを与えないと,消費者は商店街を使ってくれない.(4)駐車場の利便性が重要(塾の消費者のついで買いで、駐車料金の割引)である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
地域における電子マネーの普及と活用を目指し、以下の4点の調査、研究を進めることが研究目的である。 (a)各地域に居住する消費者にアンケート調査を行い、消費者への普及戦略を構築する。(b)電子マネーを導入した商店街などの実地調査により、電子マネー導入効果および導入阻害要因を分析し、電子マネーの商店街などへの導入戦略を構築する。(c)消費者の電子マネー利用、商店の導入について構造方程式モデリングおよび数理モデル化を行い、消費者調査データ、商店街調査データにより検証、改善を図る。(d)消費者・商店・発行事業者などの多様な観点を統合した、電子マネー普及戦略を調査データに基づいて実証的に構築、提案する。 上記4点のうち,(a),(b)は既に成し遂げた.また,(c)についてはほぼ完成に近い.(d)については着手済みである.
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今後の研究の推進方策 |
上述のように,研究目的4点のうち,2点は成し遂げたので,後は以下の2点について今年度中に完成させる. ・消費者の電子マネー利用、商店の導入について構造方程式モデリングおよび数理モデル化を行い、消費者調査データ、商店街調査データにより検証、改善を図る。 ・消費者・商店・発行事業者などの多様な観点を統合した、電子マネー普及戦略を調査データに基づいて実証的に構築、提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
電子マネーに関する消費者調査を追加して行うことを検討していたが,予算残高が少なかったので,調査地域数やサンプル数が中途半端になってしまう懸念があった.そのため,翌年度の予算と合わせて,本格的な調査を行うこととした.
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次年度使用額の使用計画 |
電子マネーに関する1000人規模の消費者調査を行う予定である.また,研究者と学生が地方の商店街に調査に出向く予定である.
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