研究課題/領域番号 |
25380579
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
原 頼利 明治大学, 商学部, 教授 (30366900)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サービス・イノベーション / 企業間ネットワーク / 脱コモディティ化 |
研究実績の概要 |
近年の製造企業の共通した問題意識の一つは製品が低価格化するコモディティ化の罠から如何にして脱するかである。そして、マーケティングや経営学の分野で、コモディディ化から脱する方法の一つとしてサービス化(servitization)が注目されてきた。本研究では、サービス化が製造業におけるイノベーションの一形態でもあると捉え、それと企業間ネットワークとの関係に焦点を当てている。 昨年度は、サービス化に関する先行研究レビューと事例研究を進め、サービス化のプロセスの全体的な流れについて理解を深めることを意識した。本年度は、もっと焦点を絞り、サービス化にとって何が促進要因となり何が抑制要因となるのかについて考察することにした。サービス化においては、「サービスは製品に付随して無料で提供されるもの」という意識を変換するためのいわゆる「説得」や「正当化」(legitimation)という活動が重要となるわけであるが、企業内および企業間ネットワーク内における説得と正当化に関して多くの問題が生じていることが事例研究からわかってきた。 近年、イノベーション・ネットワークを構成する企業の活動や資源などのコーディネーションを意味するネットワーク・オーケストレーション (network orchestration) という概念が、企業間ネットワークに関する研究者たちの間で注目されている。文献レビューを通じて、上記の説得や正当化の問題がオーケストレーション研究においても共有されている問題であることがわかった。サービス化の研究を通じて、ネットワーク・オーケストレーション研究への理論的貢献もみえてきた。 本年度の研究発表についてであるが、本研究テーマに関連して、3本のペーパーを国際学会で報告し、2本の論文を産業財マーケティングに関する国際的な学術雑誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論研究部分については、概ね順調に進展している。本研究の理論フレーム枠についての変更が生じたため、データ収集と分析については予定よりも若干遅れているが、研究の進展に問題が生じるものではない。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ当初の研究計画の通り、研究を進めることができた。今のところ、研究計画の大きな変更はなく、研究を遂行する上での問題点はないと考えている。次年度は最終年度であるので、これまでの研究をまとめ、研究成果の発表を行なう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた物品、分析用のソフトウェアの購入を行わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
分析用のソフトウェアについては既に所有しているものを利用し、購入する必要がないので、次年度の研究発表のための出張費用または英文校正費用に充てる。
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