少子高齢化と自然災害頻発のなか、生活保障システムにおいて保険事業が公的セクターと機能分担し持続的社会の実現に貢献するための要件を、保険経済学の視点から探った結果、災害・事故補償の分野では、支払能力・保険入手可能性の確保と安全努力への誘引のためにプール価格の強制などの公的介入に、また、医療・老齢保障では情報不均衡と社会・経済変動リスクに対処するため公・私保険の二層構造に、一定の合理性が見いだされた。また、保険市場融合を受けた規制の国際協調に関しては、保険のリスク移転・金融仲介機能の確保のために、健全性規制には一定の共通化が求められるが、市場行動規制には各市場の特性を考慮する必要性が認められた。
|