| 研究課題/領域番号 |
25380586
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| 研究機関 | 近畿大学 |
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研究代表者 |
玉置 了 近畿大学, 経営学部, 准教授 (40434849)
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| 研究分担者 |
若林 靖永 京都大学, 経営学研究科, 教授 (70240447)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 倫理的消費 / ソーシャル・メディア / アイデンティティ / 共感 |
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| 研究実績の概要 |
本年度は，1.ソーシャル・メディアにおける倫理的消費に関する情報発信と2.倫理的消費と共感概念に関する研究を行った。
まず1つめの，1.ソーシャル・メディアにおける倫理的消費に関する情報発信については，Twitterから，倫理的消費の中でもオーガニック，有機製品に着目し，それに関するツイートを抽出しテキストマイニングを用いた分析を試みた。その結果，倫理的消費に関するツイートからは，本研究のテーマであるアイデンティティと関わってファッションに関する意識や製品の良さに関する意識が浮き彫りにされた。また，その倫理的消費に対抗する意見をもった消費者も存在することが明らかになった。また研究のプロセスにおいては倫理的消費者に関するソーシャル・メディア上の意見を抽出・分析する方法も蓄積することができた。しかし，抽出するやりとりやその方法について未だ課題を残しており，精緻化した上で，次年度に研究成果として公表する予定である。
2.倫理的消費と共感概念については，本研究における分析の理論的視点として共感概念を取り入れることとした。理由としては，心理学において共感もしくは共感性が倫理的・道徳的な意思決定や向社会行動を促すとされているということ，こうした利他的意識とこれまで取り組んできたアイデンティティ概念という自己志向の意識を比較することで，倫理的消費に関する意識を深く追究できると考えたからである。本年度は，心理学における共感概念のレビューを進めるとともに，小売業における従業員と顧客間の共感関係が利他的な行為を生み出していることを小売業に対する調査をもとに明らかにした。また，消費者のもつ共感性が，倫理的製品の購買意図を生み出すことを質問紙調査により明らかにした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目にあたる本年度は，昨年度実施した基礎的な研究を踏まえて，倫理的消費とソーシャル・メディアにおける情報発信に関する分析を試みた。昨年度は，ソーシャル・メディアとアイデンティティという視点から消費者の情報発信を分析する研究であったけれども，本年度は倫理的消費に関するソーシャル・メディア上の情報発信をアイデンティティの視点から分析することを試み，公表できる水準にまでは至っていないけれども，新たなデータ収集方法とその分析手法の検討も進めることができた。また，本年度は共感という概念に着目し，倫理的消費を促進する意識であることも確認でき，今後テーマであるアイデンティティ形成意識の存在とその限界を明らかにする上で重要な概念であることが考えられ，その理論的なレビューを進めることができ，来年度の実証研究の足がかりとすることができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
この2年間の研究プロセスにおいて，理論的な側面としては消費によるアイデンティティ形成と共感という視点からレビューをすすめ，倫理的消費との関連性を実証研究によって明らかにすることができた。また，方法論としても，ネット上のツイートや口コミ情報の収集や購買履歴の分析など，既存研究に多く見られる質問紙によるデータ以外の収集・分析方法を修得することができた。以後の2年間は，これらの2年間の蓄積をもとに数多くの実証研究を行う予定である。1つめの視点としてはソーシャル・メディアにおける倫理的消費に関する情報発信を分析することで，ソーシャル・メディアの背後にある消費者の意識を分析することを試みる。2つめに，ソーシャル・メディアにおけるこのような情報発信を読んだ消費者の，自らの倫理的製品の購買意図や企業の社会的責任に関する価値評価に及ぼす影響を明らかにする計画を立てている。
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